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ブログ

2008 年 1 月 29 日

人の間

人間とは、人と人との間を適切に保てる存在をいう。
人とは広く動物の一種である。人と人とが集まり、間を保って付き合うことができて人間となるのである。この間隔を適切に保てることが、よい人間関係であり、それを実現することが能力といえるのである。それはたとえ夫婦であっても、親子であっても、親しい友人であっても、初対面の人と人との関係であっても原則は変わらない。必要以上に近づき過ぎても人間関係は乱れるし、離れすぎればお互いが寂しさを味わうことになる。無限大ならほとんど他人といえる。
 その時、その場、その情況で、取るべき間隔は違ってくるはずだ。そのときその人にどの程度近づいたらよいのか、このことを考え、実践することは私にとってコミュニケーションを学び、研究するための原点になっている。もちろん、このことに固定的な正解はない。

 例えば、あなたの隣人が何らかの悩みを持っているとする。果たして声をかけてもよいのか、どこまで聞いてあげたらよいのか、何をアドバイスしたらよいのか、人によっても違うし、情況によっても違う。難しい情況を人間に対する愛情という基本に立って判断しなければならない。

 悩んでいる人は、一人で考えたいときもあるだろう。親切から出たアドバイスが、かえってその人を陥れる可能性もある。そもそも他人がいくら聞いたところで、その人の悩みのすべてを解することはできない。でも、何もしないでは自分で自分が許せない。ではどうするか。

 人と人との間をどのように考えるか、人生の大先輩からこのテーマで今年の年賀状をいただいた。そのことが、私の回りにいてくれる先輩、後輩の講師の間でも話題になり、正月からひとしきり友好的、かつ実のある議論をした。それぞれの人がそれぞれの立場でこのことに思いをめぐらせ悩んでおられる。

 そのことに人が人間として生きることの奥深さと、逆にそのことに明確な答えを見出せない人生の刹那を感じる。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )