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ブログ

2008 年 4 月 13 日

オーストラリアにて(その3)

 先に述べたモアリーフにて,私は初めてシュノーケリングというものを体験した。
 私はもともとスポーツが得意ではない、とりわけ水泳のように体を濡らすのは小学校のときから大嫌いときている。小学校6年間体育のプールの授業は、何かと理由をつけてほとんど休んだ。さすがに中学ではそうもいかなかったが、それでもプールに入った記憶はほとんどない。今は50メートルくらいは泳げるが、かなりの不恰好である。

 それでも、せっかくオーストラリアまで来たのだ。先に紹介した日本人スタッフからは、特殊なヘルメットをかぶり、顔を濡らさずにできる水中ウォーキングや、アクアラングを背負っての本格的ダイビングを体験してみないかと勧められたが、一人1時間ほどで1人135ドル、家族4人で5万円以上もかかるのはあまりに高い。この船のツアーには初心者向けにシュノーケリングの説明と、用具一式を自由に使用できる費用が入っている。まずこれをしなければここまで来た甲斐がない。なかばあきらめの気持ちで、はじめてのシュノーケリングに挑戦したわけだ。

 水中眼鏡をかけ、シュノーケルを口に咥え、体をライフジャケットで浮かせて海の底を見ながら泳ぐ。初めてでも何とか息もできるし、足にフィンをつけているのでそれなりのスピードで進む。自由に泳ぎまわれるのがいい。
 眼下に見えるのは、珊瑚とその間を泳ぐ魚たちだ。この初めて見る光景に私は感動した。とにかくきれいだ。海という自然にしかなしえない、この場所にしかありえない光景なのだと思った。珊瑚もいろいろな色、形のものがある。人魚姫が乗っていたらさぞかし似合いそうな、全体がパールのように輝いているもの。見ているだけで恐ろしさを感じる、グロテスクに口を開いているかのようなもの。枝のような細いその先が青く蛍光色に輝き、まるでクリスマスのライトを連想させるものもある。その間を泳ぐ魚たちも、数十センチのものから数センチのものまで、色とりどりのまさに熱帯魚である。ディズニー映画の「ニモ」の世界だ。それがすぐ手を伸ばした先にあるのだ。もちろん手で触れることは違反だが、一緒に泳いだ娘は「魚に触ってしまった」「珊瑚が足に触れてしまった」と興奮していた。サンゴ礁はそれほど近いし、魚も逃げない。

 リーフの一部には、珊瑚が死滅したかのような部分もあってその間にも魚がいたが、なぜかそういうところに泳ぐ魚は黒っぽく、あまりきれいな色をしていないものが多かった。それはそれで動物と環境の暗い未来を連想させた。単純なイメージだが、環境を守ることの大切さを目の当たりに見せてくれた。

 初めてのシュノーケリング、初めてのサンゴ礁だったが、それは水族館にはない感動を与えてくれた。当日は風が強く、時に雨が降り、白波が立ち、コンディションとしてはよくはなかったが、べた凪の晴天だったらもっとききれいだったろう。一生の思い出に残るモアリーフであった。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )