TOP 1つ戻る

ブログ

2008 年 5 月 8 日

ガソリン値上げに思う

 ガソリンの暫定税が4月だけ期限切れで廃止された。ガソリンの値段が、1リッター120円台に下がった。と思ったら、5月から税が復活して150円台に上がった。

 世間では国民の意見がどうだこうだと言っているが、世論調査や街頭インタビューでは物事の本質は見えてこない。新聞の世論調査によると、今回の騒動ではガソリン値下げに賛成する人が約60%だという。しかし、民意の本質は「安いに越したことはない」というだけのことだろう。残りの40%の人も値上げそのものが賛成ではないのであって、税収不足やその他の公共事業への影響を考えての判断だと思う。
 街頭インタビューなどは、もっと恣意的な報道と思われる。ガソリンの値段が上がれば「上がって大変です」「これからは晩酌を控えます」「家計が苦しいです」と言う市民の困ったという声を流すし、下がれば「助かります」「これでゴールデンウィークは子どもを連れて行けます」などという、ハッピーなイメージを流す。

 マイカーのガソリンが月に50リッターとして30円の値上げで1500円。これなら生活習慣の改善で節約できる金額だ。お父さんが飲み会を1回キャンセルするだけで、3ヶ月分くらい浮くのではないか。家庭に早く帰ることができれば、親子の会話も増えるだろう。休肝日にもなれば健康にも良い。スーパーの買い物なども車を使わずに歩いて行けば、町内で新たな発見もあるだろう。
 ガソリンの値上げで家計が苦しいなら、その家庭は以前から苦しいのであって、ガソリンのせいではない。民意は必ずしも正しいとは限らない。

 そもそも日本のガソリンの値段は安い。先日のオーストラリア旅行の経験では、現地のスタンドでは日本円換算で1リッター160円以上だった。ヨーロッパでは180円以上というし、アメリカでも地域差はあるが120円までは安くない。この感覚は為替の変動で多少は変わるにしても、オーストラリアやアメリカのように自国にエネルギーを持つ国でもそうなのに、日本のように資源がない国、石油の約99.9%を輸入に頼っている国でこの値段は安すぎると思う。

 私はガソリンの値段は、少なくともマイカー用には、1リッター300円くらいが妥当だと思っている。例えば、家族で東京から軽井沢に旅行するとしよう。JRでは、新幹線特急料金を含めて、大人4人で往復約4万円かかる。車なら往復でガソリンを40リッター使っても、1リッター300円換算で12000円、高速代を入れても約2万円。まだ半額だ。決して高くはない。

 ガソリンの値段が下がると「これで心置きなくドライブができる」などという人がいるが、もってのほかである。ガソリンの値段に関係なく、これを使えば地球環境を汚すのである。ドライブはガソリンの値段に関係なく、するならする、しなくても済むならなるべくしないで欲しいものだ。この問題と税制の議論とは次元が違うということは分かっているが、現実としてガソリンの値段が下がれば環境を汚すのだ。

 ガソリンはこれ以上使ってはいけない。もう20年もやっているのだから、暫定などという言葉をやめ、税率をもっと上げて、値上げ分はすべて環境対策に回す。ガソリンは高いもの、そういう意識を持たせ、行動習慣を変えていかなければ、いつか取り返しできない不幸が襲ってくる。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )