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2008 年 6 月 15 日

基準

 私は仕事柄、飛行機を利用することが多い。飛行機に乗る際、手荷物に入れた液体(一般的にペットボトルに入れた状態のものが多いのだが)は、かばんのX線検査の後、一旦取り出して係員に見せ、さらに別の検査機にかける必要がある。これは、国内ではどこの空港でも行われている。

 先日の羽田空港での出来事である。
 札幌の友人にお土産にワインを2本、かばんに入れて、千歳行きの飛行機に乗るために、手荷物検査場を通過しようとしたときだ。
 私は係員に対し、手荷物の中にワインが入っていることを告げ、かばんから取り出そうとした。しかし、係員は「いえ、結構です」と言う。
 私は「えっ、検査しなくてもいいのですか。」と聞いてみた。
 すると係員は「ええ、結構です」と言う。

 私は、かつて何度となくペットボトルのお茶や水を検査対象にされている。お茶や水はノンアルコールだが、少なくとも今回はワイン、それほどの度数があるわけではないがアルコールである。一応チェックしたほうがよいのではないか、と思った。
 そこで親切な気持ちもあり、さらに「ペットボトルのお茶の場合は何度も検査対象になったのですが、今回のワインは本当に見なくていいのですか。」と言った。
 係員は「ええ、検査はペットボトルだけでいいのです。」と言う。
 「はあ、それはどうしてですか。」と私。
 「ペットボトルは中身を入れ替えやすいので、検査対象です。」と係員。
 「ビンは検査しないのですか、ビンだって詰め替えは可能でしょうに。」と再び私。
 「はあ、」と係員。
 明確な説明は帰ってこない。

 要するに、この検査は危険物を持ち込んでいないかの検査である。ペットボトルならチェックし、ビンはそのまま実物を見ることもない。どうもこの基準が分からないのは私だけだろうか。劇薬であれば、スクリューキャップのガラスビンのほうが入れやすいと思うのだが。

 国際線では、アメリカでのテロ以来、相当に厳しい手荷物チェックが行われている。ペットボトルだろうが、ガラス瓶だろうが、チューブだろうが関係ない。一切の液体はゲル状のもの、ペースト状のものも含めて、100ミリリットルを超えては機内に持ち込めない。しかも透明のビニール袋に入れて、容器ごとすべて係員に見せる必要がある。それに引き換え、国内線の基準ははたしてこれでよいのかという気がした。

 あらゆる基準はそれ自体に矛盾を含んでいる。基準を満たせばそれで完全という訳ではない。また、その基準がおかしいなどと論じることが本稿の趣旨ではない。しかし、ことは人の命に関わる問題である。より安全な側に、臨機応変に運用してほしいものである。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )