2008 年 8 月 19 日
旭山動物園
家族で旭山動物園に行った。家族での旅行は毎年何回か行っている。家族での旅行をしない家庭もあるというが、思い出づくり、私はそれが信念でもある。今年は、誰とはなしに「夏休みに旭山動物園に行ってみたい」と声が上がり、即決したのだ。
旭山動物園といえば、ここ数年人気の動物園である。ちょっと前までは、入園者数も少なく経費もかかるので、旭川市としては廃園も検討していた施設だという。これが、数年前に職員が工夫を凝らし、動物を見せるのではなく、その行動を見せる手法で獣舎を新築、改築し、それが人気を呼んだのは多くの人の理解にあることだ。東京の上野動物園、相当な規模を誇る多摩動物公園や横浜のズーラシアを抜き、入園者数日本一という、全国から人を集めるいわばシンボル的存在の施設で、マスコミにも頻繁に取り上げられる。
ペンギンが自分のすぐ横や頭の上を泳ぐのを見ると、ペンギンは鳥の一種だったのだと実感し感動を覚える。アザラシが垂直方向のパイプの中を上下に泳ぐのは、驚きと同時にかわいらしさを感じる。何よりも飽きない。地球最大の肉食獣である白熊が、ガラス1枚を隔ててすぐそばを泳ぎ回る姿は圧巻である。行動展示というのだそうだ。
しかしそのこととは別に、旭山動物園の見学ではもう一つ感じるところがあった。
それは、各所にある説明のためのパネル、正確にはパネルに張ってある解説の紙である。ほとんどが飼育員の方の手作りであろう。マジックやポスターカラー、写真やイラストが、手作り感覚で色模造紙に記入、貼り付けてある。その文章には飼育者の視線、見学者の視線、施設管理者としての視線が生かされており、内容が興味深い。立派なパネルに学名や百科事典的な解説があるのでは読んでも面白くないが、こちらは読んでいて面白い。こちらにも“へエー”“なるほど”と感動がある。
「僕は性格もおとなしく、イケメンではないので、お嫁さんがくるかなあ」などと、動物個々のことが書いてあると、文字や絵、文章の上手下手を超えて、この職員の気持ちが伝わってくる。彼らが動物をいかに大切に、愛情をこめて育てて散るかが伝わってくる。こちらも素人ながら、動物を見る目も変わってくる。
もぐもぐタイムという、動物にえさをやる時間がある。これがお客の見る前で、各種説明をしながらのショーになっている。飼育員が自分の言葉で、子どもや親子連れを意識した説明をする。動物を見るだけでなく、動物を見たことをきっかけにして、これから何を考えてほしいか、子どもたちに訴えかけている。その姿にも好感が持てた。
追記として一言、筆者が同園を訪れたのは夏休みの日曜日であって、園内は相当混雑していた。随所に民間の職員やボランティアなどが配置されており、お客の整理、誘導に当たっていた。この人たちも地元の人なのであろう、対応に地元の施設への誇りと親切さを感じた。
施設のすばらしさ、展示の工夫、それ以上に人の心を感じる動物園であった。是非多くの方に訪問していただきたい。そして、人の心をかんじていただきたい場所である。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )