2008 年 9 月 12 日
シートベルト
車のシートベルト、後席の人にも着装が義務付けられた。
筆者は昭和30年生まれだが、免許を取った昭和48年ごろは、シートベルトがない車もあった。それが、いつか前席はシートベルト着装が義務付けられ、今年からは後席もだ。
近年は高速道路も整備され、高速で走行することが当たり前になった。また、報道によるとシートベルトをしているケースと、していないケースとでは、事故による死亡率が大分違うという。今の車は後席にも3点式シートベルトが装着されているから、当然のこととして是非使うべきである。
現実はどうか、町を走っていても後席のシートベルトをしている人はまだあまり多くないように思える。タクシーに乗っても、運転手からそれを促されることはまずない。観光バスなど出入り口が左前方1箇所のタイプは、全席に2点式シートベルトがあるが、その着装を促すアナウンスや表示は申し訳程度のものであることが多い。出入り口が2箇所の路線バスでは、シートベルトそのものがない。
ここで言いたいことは、だから違法だとか、バス会社に何とかしろ、ということではない。筆者が今春に行ったオーストラリアでは、ツアーで使われたすべてのバスで各席に3点式シートベルトが装着されていた。運転手は、バスを走らせる前に社内を回り、乗客の全員がシートベルトをつけていることを確認していた。それが守られていなければ乗客に注意し、それが確認できなければ走らせない徹底ぶりだ。大型バス、マイクロバスを問わずである。
ちなみに、この国ではバス車内での飲食も禁止である。ある日本人男性が、駐車中の車内でパンを食べようとしたら、運転手がすぐに飛んできて、バスを降りるように促した。シートベルトの未着装、飲食(飲食は駐車中も)は、警察に見つかると、運転手は即取締りの対象になるのだそうだ。もちろんこのことは、乗客の安全、車内環境の美化、モラルの高揚に向けての施策である
わが国では、警察は当面、後席のシートベルトの未着装を取り締まらないのだという。だからといって、しなくてもよいことにはならない。せっかくのルールができても、現時点でほとんど機能していない現実は、マニュアルや制度を作って、それで安心している一部の日本的企業の図式に似ている。法律ができても、それを守るために技術的、設備的、金銭的に莫大な負担があるなら、猶予期間も必要だろうが、今ではほとんどの車についているシートベルト、そのバックルを止めるだけである。
そこに落ちているゴミを拾わない、人にあいさつをしない、そうすべきであることは分かっていても、すぐにできることをしない、そのことに対してさしたるポリシーもない、これが今の日本の病のように思えてならない。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )