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ブログ

2009 年 1 月 1 日

備える

 昨年後半から、世界は未曾有の不況、経済は危機的な情況にあるという。昨年末から、派遣社員が突然の解雇にあい生活の危機にあるとか、年末に住む家がないとか、境遇の悲惨さを報じるニュースが目白押しである。
 その個人や企業にとって、社会環境がいつでも理想的なものである保障はない。個別の事情も含めて、環境や事態が、永遠にこちらの思うように推移することなどないのだ。
 その人にとって環境が良いときも悪いときも、大切事は備えである。こういう時勢だからこそ、年の始めにそのことを考えたい。

 「備」は、人が羊を囲いの中に導く様を表すという。

 それは、例えば万一の情況に備えて貯蓄をすることである。
 筆者は社会人として第一歩を踏み出したときから、給料の10%から20%はないものとして貯金してきた。それはそのつど何かに使っているので、今それが残っているわけではない。何故そうしたのかといわれれば、多分自分で考えたことではない。その時々での誰かのアドバイスの結果だと思う。二度目の職場で当時40歳代の課長は、万が一収入が途絶えても6ヶ月間は同じ生活ができるだけの蓄えをもっておくべきだ、家庭を持つこととはそういうことだ、と力説していた。今、小さな企業を経営する身になっても、それはそうしている。
 家計が苦しくて貯金ができないという人がいるが、余ったら貯めようという姿勢では、いつまでたっても備えにはならない。家計が苦しいなら、初めから10%くらいあってもなくても苦しい情況は変わらない。

 それは、例えば万一の情況に備えて能力を身につけることである。
 今の職業を外れたときに、自分に何ができるのかを考えることである。多くの社会人には現実の生活がある。そのときになって「何でもやります」では遅いのではないかと思う。「これがやりたい」といってその職種が与えられるほど社会は単純ではないし甘くもない。人から抜きん出た能力、個性を磨くことが普段から行われていることが大切だ。休みを漫然と過ごし、自己啓発に普段から投資することなくては、将来も見えてこないだろう。
 万が一のときにはその職業とともに心中する、他の職業は一切やらないというならそれもよいだろう。「何でもやる」姿勢も大切だが、仕事の幅を拡げて信頼を失う人もいる。「これしかやらない」という姿勢から信頼を得ることもあるだろう。この考え方もひとつの備えである。それは個性であり生き方の問題だ。

 2008年末、住まいを失った人のために、都心の公園で炊き出しを行が行われ、約80人が参加したということがテレビ報道されていた。ところが、そこに集まったボランティアが300名だという。寄せられた食料が、山のように積まれた様が映し出されていた。その炊き出しを受けた人が「生活を立て直し、来年はボランティアとしてここに戻って来たい」と、感極まった様で話していた。
 社会には、善意という備えはまだありそうだ。

※ その後このイベントには500名以上が集まって、物資、食料などが不足したとの  ことである。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )