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ブログ

2009 年 2 月 2 日

白い恋人たち

 このタイトルを聞いて、何を連想するだろうか。
 「聞いたことがある言葉だが。えーっと、なんだっけ?」と、思われる方が多いのではないかと想像する。「北海道のお菓子だ」と思う方は通だが、あのお菓子には「たち」は付いていない。
 「白い恋人たち」は、1968年にグルノーブルで開かれた冬季オリンピックの公式記録映画のタイトルである。この映画にはセリフや音声による解説がない。ドキュメンタリーフィルムを繋いで、オリンピックでのできごと、それにかける人間の思いを表現したものであった。勝者、敗者のありのままの姿を伝え、見る者の感動を呼び、世界的に好評を得たと記憶、理解している。フランシスレイによる同名の映画音楽が全編を通して流された。哀愁を帯びたこの曲が、映画以上に世界的ヒットになった。誰もが感動した映画、その理由のひとつだろう。

 グルノーブルオリンピックの開かれた年、私は小学生であった。この映画の公開が中学生1年のときだから、リアルタイムでこれを見て感動を味わったわけではない。
 4年後の札幌での冬季オリンピックの前後、つまり私が高校生だったか、その後の大学生のときにであったか、テレビで見た記憶がある。白銀の世界が、あるときは太陽の光をユートピアのように輝かせ、あるときは人を容赦なく吹雪く。そこに挑む勝負と感動の人間模様はまさに白い恋人たちと呼ぶにふさわしいものであった。
 当時、スキーは、その用具の高価なこと、東京から遠く離れたスキー場まで行かねばならないことなどから、一般的、庶民的なスポーツというイメージではなく、お金持ちのスポーツというイメージであった。だからこそ憧れた。

 「白い恋人たち」のイメージ、その憧れはその後、現実の恋愛の年頃になり、松任谷由実の「雪だより」「ロッジで待つクリスマス」「ブリザード」などの楽曲につながっていく。スキーへの憧れは、恋愛への憧れとイコールになっていったのだ。スキーの恋愛のイメージは、さらに現実の結婚へとつながり。その後には、広瀬香美のゲレンデソングやGLOBEの「DEPARTURES」につながっていくのだ。

 とにかく、スキー、スキー場、その雪景色には、私にとって永遠の憧れがある。今でもあの日の映画の、あの日の自分の、そして今の「白い恋人たち」がいる。
 そのイメージが、私の唯一の趣味である、スキー、スノーボードを支えている、といっても過言ではない。
 ロマンチックなイメージを育む、スキー、スキー場、冬の叙情をイメージできる楽曲が新たに出てくることを望みたい。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )