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ブログ

2009 年 4 月 12 日

上海にて

 上海に行ってみた。躍進する中国経済特区のナンバーワンの都市であり、古い中国の面影を残す町というイメージを重ねて、中国という国の経済的な現実を確認するためである。といってもたった3泊4日なので、主だったところを見る観光旅行に過ぎないといえばそのとおりだ。

 率直な印象として、上海の町はとにかく埃っぽい。昼は白い靄(もや)がかかったようで、晴れていても遠景は霞む。車の排ガスや工場の煙が原因だと思うが、もう一つ。街中の埃っぽさは、あちこちで工事、特に建築工事をやっていることが原因かと思われた。日本のように工事現場をパネルで覆い、出入りするダンプカーはタイヤを洗って、路上に土埃が出ないようにする、などという配慮はないようで、工事現場の前の道路は土埃で白っぽい。来年に国際博覧会(万博)を控え、とにかく街のそこここでやっている。この数がとにかく多いので、街中の道路は白い印象だ。

 テレビやガイドブックでおなじみの、球形の展望台を擁した上海テレビ塔(東方明珠)のある浦東地区などは、ここ数年で完成した近代的なビルが立ち並んでいる。つい最近完成した上海ヒルズ(森ビルが建築主)は、高さが450メートルを越えるオフィスビル、隣にはさらに高い600メートルものビルを計画中だという。
 世界が不況といわれる中で、経済成長率8%を宣言した中国の実力を感じた反面、これだけのペースで経済を拡張していけば、いつか限界が来るのではないか、このくらいの仕事量を生み出さないと、あの国の人口を支える経済成長を維持できないとすれば、その先はどうなるのだろうか。一抹の不安を感じた。

 新しい町はきれいだ。埃まみれの道路もやがてはきれいになるだろう。
 一方、旧市街地はきれいとはいえない。建築工事ももちろんあるが、それだけではない。道路が汚い原因の一つは、油っこさというか、埃っぽさというか、生活感がある汚れというべきものがある。ゴミも落ちている。つばを吐く人も散見される。しかし、何となく懐かしさを感じる汚れではある。
 私は、昭和30年の生まれだが、心のどこかに記憶している、私にとっての日本の原風景とどこかつながるものがある。ふるさとに帰ったような気がして、初めて訪れた地にしては親しみとあたたかさを感じたものだ。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )