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2009 年 9 月 4 日

お任せ民主主義

 衆議院議員選挙が終わった。結果は民主党の大躍進となった。
 結果についての是非はともかく、圧倒的多数を誇った与党が惨敗し、大物といわれる議員が何人か落選したことをみると、古い体質、現実から脱し、新しい何かを求める国民の意思があったことは確かであろう。オバマアメリカ大統領への政権交代。「チェンジ、イエス・ウィ・キャン」の日本版であろうか。

 解散から投票までが約1ヶ月あったので事実上の選挙戦の期間も長く、その間にテレビや新聞報道を通して、さまざまな論調、予想などが飛び交った。識者の意見や一般市民のインタビュー、世論調査の結果などにマスコミを通して触れることは、もちろん有意義なことであるし、そのチャンスが多かったのはよいことだと思う。

 しかし、今回の有権者へのインタビューを通じて私は疑問を持った。
 選挙前の街頭インタビューなどで、有権者の主張の多くは「年金を増やしてほしい」「児童手当を増やしてほしい」「高速道路の通行料金を安くしてほしい」「雇用を増やしてほしい」など、「‥‥‥ほしい」「‥‥‥ほしい」のオンパレードである。しかも、生活にそれほど困窮していないであろう人が、そのほとんどが自分の自由になるお金に絡んだ要望を口にする。生活を楽にしたいから、という要望である。本人の感覚では、生活が苦しいから‥‥‥、将来が不安だから‥‥‥など、理由はいろいろあるのだろうが、この変革期にこそ考えなければいけないことがある。

 このような時代だからこそ、ジョンFケネディが示したように「国家が個人に何をしてくれるかではなく、個人が国家に何ができるかを考える」ことが大切なのではないか。
 未曾有の経済変革期にあってこそ、「‥‥‥してほしい」ではなく、「自分は‥‥‥する」が大切なのではないか。「‥‥‥ほしい」「‥‥‥ほしい」ばかりでは何も変わらない。せめて「他人に‥‥‥してあげてほしい」くらいは言えないものか、と思う。これでは本当の意味での変革は望めない。

 とにかく、自分を変えることが大切だ。何もかも劇的にとはいわないが、少しでもいいから日常の考え方を変える、行動を変える、習慣を変えることである。隣人のために行動を起こすことである。自分を変えることで、自分を取り巻く環境が変わる。他人に何かをしてほしいと言う考え方からは、結局本質的には何も変わらない。

 民主主義では、自分の主張と同様に、他人の意見も尊重されるべきだ。つまり、自分に何をしてほしいかと同時に、他人のために何ができるかを考えることが大切なわけだ。
 豊かな社会、争いのない社会を実現した日本だが、今の状況は民主主義ではない。
お任せ民主主義である。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )