2009 年 12 月 19 日
キャスターバッグ
航空会社の機内持ち込み手荷物の基準が統一され、厳格に規制されるようになった。
私は、年間に数十回、飛行機に搭乗するが、確かに基準を超える大きさの手荷物を持ちこむ客が多くなったと感じる。規則では大きさの他に個数も身の回りの物以外にバッグ1個ということになっているが、3つも4つも持って乗ってくる人もある。そのことが原因で出発が遅れることが多くなったという。
規則に反した大きな荷物を持って、機内の狭い通路で人にぶつかったり、不便な移動をする姿にはその人のセンスのなさを感じるし、狭い収納スペースを占領して、結果的に他の人の荷物の収納に支障が出るのは、迷惑な話である。
なぜ機内に大きな持ち込むのか。一つの原因は、到着空港で手荷物を待つ時間を省きたいからだと思われる。その気持ちは分からないではない。しかし、そこは自制すべきだ。
本稿では、もう一つのポイントに着目したい。
キャスターバッグである。
最近は駅や空港、街中でもキャスターバックを持った人が目立つ。そして、キャスターバックは、従来のカバンより大きめのものが圧倒的に多い。
たとえば、ある県の研修センターで合宿研修を行うと、1泊の研修であるが、20歳代、30歳代の受講者の多くはキャスターバックに身の回りの物を詰めてくる。その大きさたるや、とても1泊の身の回り品が入っているのには似つかわしくないのだ。まるで海外旅行にでも行くかのようなバッグを持って来る。果たしてあの大型キャスターバックに、目いっぱいの物が詰まっているとは思えない。大きければそれなりに何かが入っているのかも知れないが、本当に何が?
研修にしても旅に出るにしても、宿泊施設やホテルで普段の生活通りの生活をしなければならないわけではないだろう。あれもこれもの備品を使えなくても2~3泊の生活はできる。必要最小限の衣類と洗面用具さえあれば、それほど大きなバックは必要ないはずなのに、大きな荷物を持って移動する。
キャスターバッグで楽に運べ、スペースが大きいからこそ何でも入ってしまい、持ち運べるのだと思われる。しかし、限りあるスペースに何を詰め何を持参するか、これこそも知恵ではないか。
荷物を少なく、小さくすることで、自由な移動ができるわけで、そのために知恵を使う。制約や不自由さを感じるから知恵が出るのだ。いつも不自由さを感じないのはいかがなものか。
大型キャスターバッグは、人の知恵とある種の自由、スマートさを奪っているように思えてならない。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )