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ブログ

2010 年 2 月 27 日

インターネットの弊害

 大学3年生の娘が就職活動をしている。そこであらためて思うことはインターネットの弊害である。
 最近の多くの企業は、インターネットを介してエントリーシートなるいわば申し込み書、履歴書を受け付けるという。何とか採用されようとする応募者は、数多くのシートを企業に送る。インターネットでは簡単に送れるので、一人で数百社に送る学生がいるという。不況も手伝ってか、どこでもいいからということでその数は多くなる。
その結果、企業には数千人からの申し込みが来るわけだから収拾がつかない。その一つひとつを精査することなく不採用を出すことになる。面接まで行ける学生などは、ほんの一握りである。エントリーシートを出してもめったに面接してもらえない、採用されないわけだから、学生はだめでもともととばかり、さらに数多くのエントリーシートを送ることになる。

 しかも、パソコンでシートを作るからコピー・アンド・ペーストが可能だ。中には、文章作成の上手い人に依頼して作ってもらったり、シート作成のひな型を適当に組み合わせて、自分のエントリーシートとしている者もあるらしい。
会社説明会への参加もインターネットから申し込む企業が多いのだが、申し込み開始から1~2分で定数に達し、即締め切られることが珍しくないという。これまた、もうどこでもいいから申し込めと、手当たり次第に申し込むことになる。結果、厳しい就職戦線になっている。

 インターネットでの応募だと、不採用になる学生にしてみれば、会ってもくれない中での不採用だから合点がいかない。数百社にエントリーシートを出したにもかかわらず、面接も受けられずにすべて断られ、自分は社会に必要とされていないのではないか、と思い始め欝病になった学生もいるという。
 インターネットを使った就職受け付けは、結局学生にも企業にも弊害が多い。考えるべき問題だと思う。

 私の就職活動時代は、もちろんインターネットはなかった。学生はさまざまな方法で企業情報を得て、自分で足を運び、会社の雰囲気を知り、願書を自分で持参した。就職協定もあったので、会社訪問解禁が大学4年の10月、採用試験解禁が11月であり、事前に選んだ数社を訪問し、実際に願書を出すのはそれなりに厳選した会社、3社か4社であった。
 そのことで企業や業界についての理解も深まり、ぜひこの会社でという意識もおのずから高まった。自分が働きたい業種、企業、職種を考えて選ぶことで、社会参画への意思も醸成されたはずだ。会社訪問、願書の提出はある意味で企業と学生の面接だから、不採用になってもそれなりに納得もできたということである。

 わが娘には、業種を考えてその中からこれだと思う企業に願書を出すよう、エントリーシートはその都度自分で書くように言い渡してある。数打てば当たる、はやめろと。他人の文章のコピペで合格し、そのようなことで自分で自分を許せる人格にはなってほしくない。幸いそのとおりやっているようだ。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )