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ブログ

2010 年 3 月 19 日

壮年老い易く - 大分の友人

 「少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず」は、朱子という人の漢詩だと言われている。作者不詳という説もある。小学生の時に校長の小林正光先生から教わったが、その後の人生でも何度か耳にした有名な詩である。このあとに2文節が続くのだが、忘れてしまった。

 若い日はそう長くは続かない、また学問はそう簡単には身に着かない、少しの学びのチャンスも無駄にせず大切にすべきだという意味だ。小学校のときに聞いた時はもちろんそんなことは実感もできず“何を言っているんだ。人生は長いぞ”などと思っていたが、私も54歳になり年月の過ぎるのが早いというが、過ぎてからそれを実感することが多くなった。本当に老いやすくである。

 私には、大分にH氏という友人(人生の先輩なので友人と言うのは申し訳ないが)、知り合いがいる。初めてお目にかかったのが、私が23歳で氏が31歳でいらしたろうか。奥様が26歳でいらしたと記憶する。場所はミクロネシアのサイパン島である。私は広島、長崎、沖縄と昭和史の舞台となった地を実感しようとした目的の一人旅で、お二人は新婚旅行だった。サイパンツアーサービスという現地旅行会社の社長さんのご自宅に招待されて出会ったのだった。

 10年後、私はある大手コンピュータ会社の若手社員研修で、初めて大分に行くことになり、手前の都合で失礼かとも思いつつご連絡を取ったのが33歳だった。何と、このコンピュータ会社の現地の研修ご担当者がこの奥様であったことは夢にも思わず、これほどの奇遇があるものかと驚いた。ご夫妻とは10年ぶりの再会であった。
 このとき、10年という年月は、本当に久しいと感激した。それから3年連続で大分へ研修で伺ったが、研修の中止とともに伺う機会もなく今日に至った。
 が、今年6月に、久しぶりに大分での講演が予定されている。大分県庁から招へいをいただいたのだ。今回もH氏ご夫妻にお目にかかることができればと、今から楽しみにしている。

 考えてみれば、最初の再会までの10年は、本当に“久しぶり”という感覚だった。感慨といってもよいほどだ。ところが、最後にお目にかかった年から、今年でさらに20年ほどが経ってしまったわけである。今の感覚は“ついこの間に”お目にかかったというものだ。本当に年の経つのは早いと感じる。

 なぜ、歳をとると時の経つのが早いのか。私には一つの答えがある。それは人との親しみだ。それは自分が勝手に考えているだけかもしれないが、H氏ご夫妻との親しみの情が何年お目にかからなくても、時間を長く感じさせないのではないか。つまり逆説的には、月日の早さを感じさせるのだと思う。

 親しみある友人、知人をたくさんもつことは、人生を楽しく、明るく、暖かくしてくれる。まだ見ぬ素晴らしい人に、一人でも多く、何人でも知り合いたいものである。
 人生の楽しみはこれからだ。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )