2011 年 5 月 25 日
被災地を応援しよう その4 - 国会議員よ未来を語れ
私は地震の当日仙台におり、たった1日半ではあったが、連絡ができない、寒い、食事ができない、いつ東京へ帰れるのか分からない、そういった不安を経験した。だから、今直接の被災地ではない東京に住み、その立場で被災地の方々にどのようにお役に立つことができるかを考えている。微力ともいえないほどのことだが、考えを深めて実践もしている。
この欄では政治批判をする意図はないが、5月23日の国会での復興特別委員会の議論を報道で聞き及び、実に嘆かわしい思いになった。この委員会は、被災地を今後どのように復興していくかを議論する場ではないのか。それなのに議論の中心は、福島第一原子力発電所1号機の冷却水の海水注入が、一時55分間中断されたのが誰の指示かということが議論されていた。総理大臣または官邸が指示をしたかどうかである。過去の問題を取り上げるなとは言わないが、これを議論しても被災地の人々の復興への展望とはあまりにも関係が薄い。
原子力発電所の冷却は純水で行う。純水は原子力発電所のタンクに入っている。それがなくなったらどうするか。冷却のためには水を入れないわけにはいかない。だから海水の注入を行うことは原子力の専門家の常識である。発電所のマニュアルにもある。
海水を入れると原子炉が使えなくなる可能性がある。できればやりたくないだろう。しかし、誰が何を言おうと、これは事業者である電力会社の技術者の判断である。政府の誰かが何かを言ったことで注水を止めたとしても、これは事業者の責任においてである。
何故、野党の党首が力みながらこれほどの問題に国会での時間をかけたのか。愚かしいこと極まる。あの状態においては55分間の中断がなかったとしても、原子炉中の結果は変わらなかったと思われることも専門家の間では常識的判断だ。
一方の政府は国会で質問が来れば、答弁せざるを得ないのだろう。しかしながら、「この問題について、今、ここでは議論しない。そのことは復興が済んでからゆっくりやろうぜ!」と何故反論できなかったのか。質問に答えないことは、理屈としてはおかしいかもしれないが、そのほうが国民にはアピールできるだろう。
与党となったM党、今の総理であるK氏への失望感も理解できないわけでもないが、これまで1年ごとに代わってきた一国の総裁を、またも代えることの各国からの不信感、被災地への政策の継続性からのリスクを考えると、今、政権を追い込めばよいというものでもなかろう。とにかく被災地の復興を考えて行うはずの特別委員会である、過去の対応が十分か不十分かの議論ではなく。今、次に何ができるか、何をすべきかの議論をもう少し理性的にできないものか。
総理大臣を降ろしたい意図が見え見えの国会論争。以前の与党だったJ党、党首としてのT氏にも失望を感じるのは私だけか。言葉を失うほどだ。
国会議員よ、我々の代表として、被災地の未来を語れ。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )