2012 年 5 月 15 日
一番美味しいものは何ですか その3 ― 北海道札幌市
全国に仕事で伺う仕事柄、全国で一番美味しいものは何ですか、と聞かれることが多い。幸いなことに、私は嫌いなもの、食べられないものがほとんどない。何を食べても美味しいと思える。だから「何が」一番かと言われても困るのだ。先週も、北海道北広島市でこの質問を受けた。
「何が」と言われると困るが「何処が」という質問であれば、私は「北海道」と答えることにしている。北海道は、私の個人的な憧れも含めて、どこへ行っても、何を食べても美味しいと感じてしまうのだ。空気がよく、気候が暑すぎないからだろうか。大地と海の自然のイメージがあるからかもしれない。
手軽なところでは札幌のラーメン、スープカレー、美唄のやきとり、帯広の豚丼、イカの塩辛を乗せたジャガイモバターなど、想像するだけでも美味しいものが実にいろいろある。最近では、札幌の中心地にワインの充実したイタリア料理の店もいいところが新規に開店しているようだ。
しかし、何といっても、生のままの刺身や寿司、炉端焼き、ジンギスカンなど、北海道独特な雰囲気がいい。これらは、生か焼くだけの調理だ。北海道の人たちの好みか、食材が良いから余計な味付けをしないのか、素朴といえば素朴である。
以上、いろいろあるが、私にとって北海道で美味しいものというと、真っ先にイメージされるのはジンギスカンだろうか。40年ほど前、修学旅行で初めて北海道を周遊したときにも、食べ物ということであれば、羊が丘で食べたヘルメットのような鍋で焼いたジンギスカンが思い出される。当時は、丸く成型されたマトンの冷凍プレス肉が出されたのであり、私も最近までそれを焼くのがジンギスカンだと思っていた。しかし、北海道に行くようになって、生ラムというものを初めて食した。そして、最近は生のラムを出す店が主流のようだ。冷凍プレス肉も美味しいが、生ラムであれば一層美味しいというものだ。東京のスーパーマーケットでも、ここ10年ほどだろうか、生のラム肉を普通に売るようになった。
北海道のジンギスカンは何処も美味しく、私の感覚では遜色はない。北海道に憧れを感じる私としては、サッポロビール園や札幌ファクトリーの雰囲気で食べることができるならば何も言うことはない。しかし、さすがに地元の人はこだわるようだ。
そこで、一番美味しいのは、と強いていえば、「大一」が私にとって最近のヒットだ。すすき野の一角にある。ある人に紹介された。
席は15~16くらいの、カウンターだけのお店だ。元運転手だというご主人と奥様の2人でやっている。肉のメニューはラムの肩ロース。この1種類だけだ。そこがこの店のこだわりだという。他のメニューは昆布やにんにく、ご飯ものくらいがあるだけ。あとは、焼き野菜だ。
この肉がすこぶるやわらかく、滑らかな食感である。ラム肉独特の香りを残しながら、自家製タレとの相性がいい。何度もお替わりしたくなる。ビールが進む。
ご主人は忙しく調理しているが、声をかければ会話に応じてくれる。なぜ、この肉一種類かなどと聞くと、熱く語り始める。この部位の肉は、北海道では他の店には出ていないものだという。
札幌には、他にもジンギスカンを出す店がたくさんある。有名な「だるま」「札幌ジンギスカン」「味の羊が丘」「山小屋」など、どれも個性的な店である。名前は忘れたが、塩だけで食べさせることを売りにしている店もあった。
ほぼ毎月、北海道に行く。肉の違い、タレの違い、店構え、北海道らしさを感じる店をこれからも探していくことにしよう。
仕事で全国を旅する、そしていろいろなものを食べることができる。幸せを感じる。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )