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2012 年 6 月 19 日

この先の日本が心配です - 1997年からの日本

 アメリカのサブプライムローン問題、リーマンブラザースの破綻から世界の景気が低迷している。ヨーロッパでもアイルランド、ギリシアと国家財政の危機が続き、今度はスペインかイタリアかと不安が渦巻く。
 日本も、必ずしも明るい話題ばかりではないが、それでも欧米、中近東に比べれば安定しており、何より社会的治安がよい。これはありがたい。というので、外国為替では円高傾向が続いている。結果として輸出産業の業績は悪化し、製造業自体が海外に出て行ってしまって、ますます明るい話題が遠ざかっている。

 日経ビジネスに掲載されていたデータによると。1997年から2012年にかけての15年間、日本の状況は次のようなのだという。この事実をどう考えるかである。

■ GDP(国民総生産) 523兆円→468兆円 11%減
 GDPはついこの間まで、日本は世界の第2位の先進国だった。中国に追い越されて第3位になった。中国の国力を考えると、いつかは逆転されるだろうことは常識的に理解できたことだった。しかし、この15年間で日本自体のGDPが10%以上も下落しているという。このことを国民のどれだけの人が知っているのだろうか。
日本の経済成長率は、1%を越えるか否かの低水準である。このことには認識があったが、マイナス11%とは私は意外であった。
 これは、日本が不況だからというより、製造業が海外に出てしまったことが大きいという。今後も製造業は、海外に移転するだろう。円高は日本の国内問題とは言い切れないが、明らかに国内問題である電力の需給不安、価格のアップなどによって、そのことはますます加速するだろう。いつの日か、日本は世界の先進国でなくなるのだろうか。

■ 正規雇用労働者数 3812万人→3300万人 13%減
 正規であろうとアルバイトであろうと、それはあくまで手続き上の身分の問題である。職に就いた以上、身分に関わらず、責任ある仕事をすべきである。
 しかしながら、正規雇用であれば事業や組織を次世代につなぐ責任を感じるだろう。その覚悟もできよう。非正規であれば、いつ辞めるのかは勝手だし、またいつ辞めさせられるかも知れないので、事業や労働に寄せる高い意識も育たないのではないか。いや、正規雇用者でも、いつ辞めさせられるかは現実なのだという。実際に正規雇用者に、嫌がらせをして自主的に退職に追い込む職業もあるという。
 少なくとも、若い人を中心に、組織を次世代に引き継ぐ、そういった意識が育っていないとすれば、リーダーシップも管理能力も育っていないことになる。将来はどうなるのだろうか。

■ 平均給与年収 約467万円→ 約412万円 12%減
 この数字は、すべての労働者の平均だそうだ。確かに、苦しい数字である。ついこの間まで、一口に平均年収500万円と言っていたが、これが平均だとすれば上のほうには数千万円の人もいるわけだから、母数の中心は当然412万円よりは下。単純にいえば400万円くらいだろうか。
 年収400万円で、そこから社会保険など公的費用が差し引かれるわけだ。単純に世帯主の年収だけで子どもを育てることは、緊縮生活を強いられることになるだろう。相当の豊かさを求めれば、一方で子ども数も減ることだろう。子どもの数が減れば、中期的将来の労働人口、納税人口も減る。

■ 国民年金収納率 79.6% → 59.3%
 当社はコミュニケーションの分野の教育をつうじて、全国の自治体で、税や国民年金の滞納者に収納に向けた交渉について指導しているが、ここまで数字が落ち込むと、その理由は努力不足、では説明がつかない。
 収納率が6割を切る現状では、皆年金とか義務とかいった言葉が空虚である。将来に向け大きく社会保障改革を行わなければならないが、消費税を上げても相変わらずの低所得者向け現金ばら撒きが議論される現状では、心配の種は尽きない。

■ 生活保護受給世帯 63万1000世帯→ 141万世帯 2.2倍
 生活保護制度は、いわゆる社会のセイフティネットであり、最後の手段である。そのことを知ったのは、小学生の時代に社会科の勉強であったと思う。そうか、可愛そうな人は最後は助けてあげるのか。子ども心にいいことだと思った。一方で、かつては社会のお世話になることははずかしいことであり、なるべくそういう制度はつかわないほうがよいと思っていた。
 しかし、現代では「憲法に定められた正当な権利である」として、高飛車な態度で申請に来る人もいるという。さらに、制度を悪用して不正に受給を受ける人もいるという。
 人の道の基本は、精一杯働き他人のためになること、人に負担をかけないことであり、本当に困ったら保護を申請することだ。一方、社会も手を差し伸べることだ。
 この常識が薄れたのだろうか。今の社会は、本当に困る前に相談を受け、申請し、助けを求める。豊かな社会は、それを許容する。

 以上の数字を見て、私はいささかショックを覚えた。
 これからの日本はどうなるのだろう。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )