2012 年 8 月 18 日
この先の日本が心配です その3 - 日本には影響力がない
8月15日、終戦の日を迎えた。戦後10年目の昭和30年に生まれた私は、小学生のころから平和の大切さを思い、それなりの感情を抱きながら生きてきたつもりだ。しかしながら、今年ほどやるせなく、この国の未来が心配になったことはない。
先ごろ、韓国のイ・ミョンバク大統領が、竹島を訪問したという。しかも、ロンドンオリンピックで日本と韓国が男子サッカー、女子バレーボールで銅メダルをかけての決戦直前のタイミングである。
同大統領は、以前に日本の天皇の訪韓を望む発言をしておきながら、今回は謝罪するなら訪韓させてやってもいいというニュアンスの言い分を、自国の大学生の前で行った。そして、従軍慰安婦問題を持ち出して補償と謝罪を要求してくる。
同国については、私は特別な感情を持っているわけではない。一度、観光で訪れただけだ。いろいろと感じることはあったが、総じて悪い感情を持ってはいない。隣国として親しみを感じている面もある。
しかし、それほど詳しいわけではないが、この国はこのようなことがかつて何度もあったことを、常識としては知っている。このようなこと、とは自国内に問題が起きそうになると、かつての戦争を持ち出して被害者意識を強調し、日本バッシングに走るということだ。他の国を攻撃することで自国民の意識をそちらに向け、自国内の団結を促す。問題の本質をそらす。
今回のことも、政権末期の同氏の作戦、といえばそれまでのことかもしれないが、何とも破廉恥。
この国は領土問題や歴史問題は、小学校から大学まで自国が被害を受けたことを徹底して教え、竹島が自国の領土だという意味の「竹島の歌」も小学校の音楽の必須項目で教えるという。若者が他国に旅行に行き、この歌を披露することもあるのだという。世論操作がしやすい土壌もあるのだろう。
翻って、わが国の若者はどうか。従軍慰安婦問題や、竹島という島で領土問題が起きていること、だいいちその島が何県のどの辺りにあるのか、これを知っているものはどれだけいるだろう。
今回、私がやるせない気持ちになったのは、同氏の発言だ。同氏は一連の動きについて「日本は反発するだろうが、日本は韓国にとってかつてのような影響力はない」と断言した。影響力があろうとなかろうと、他国、他人への尊厳は保たれなければならない。それをもって品格というのだろうが、他国の弱みを突いてくるし、相関関係によって態度を変える。現実の国際外交とはこんなものか。
確かに、わが国のGDPは下落し、韓国は伸びている。その差は相対的に小さくなっている。例えば、ここ10年から15年で、家電製品でも情報端末でも自動車でも質量ともに、韓国製は良くなった。テレビや携帯端末では、欧米でトップシェアを確保している製品も多い。結果、日本メーカーは散々な結果になっている。自動車でも、ヒュンダイがアフターサービスの良さでのアンケート結果が、トヨタを抜いたという。
最近は俳優や歌手までも、日本での人気は高い。私にはそれらの価値を評価できるほど詳しくはないが、歌手、例えば少女時代やKARAなどは、日本の若手歌手のそれらよりよほど洗練された感がある。
国際間で影響力を持つことは目的ではない。しかし、戦争に負け、石油、ガス等の資源が皆無というほどの日本が、ここまで発展し、安全で豊かに暮らせてきたのはなぜか。それは、一言で言うなら、国際的な発言力、影響力があったからだろう。それは、経済か、文化か、技術か、国民性か。そのすべてが有効に作用したからだろう。政治の力は疑問だが。
いずれにしても、政治、経済、文化、生活、技術、エネルギー、この国に生まれた者として、本当にこのままでいいのか、一人ひとりが覚悟をすべき。そのときが来ていると思う。
これからの日本が心配だ。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )