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2013 年 1 月 18 日

人を幸せにするもの その2 - エネルギー政策

 新年にあたり、社会の安定と家族の幸せ、娘の将来の幸せを願わずにはいられない。
 娘は、この4月で一人が社会人3年目である。自分もそう実感するが、社会に出ての3年間はその後の人生の価値観を作り大きく影響する。そして、もう一人が、この4月から社会に出る。月並みながら、娘の幸せが心配だ。

 そういう意味で、娘の代の社会も心配である。エネルギー供給の安定性だ。
今、原子力発電所は関西電力の2基しか稼動していない。それでもとりあえず、電気は受電側の節電もあって何とか賄われている。これは、今から20~30年前に盛んに建設された、火力発電所のおかげである。しかし、これはあくまで“とりあえず”である。
 日本は、一次エネルギーが自国内にほとんどない。統計的には、わずか4%である。このまま火力発電に頼れば、電気料金は近い将来、全国で今よりもさらに35%以上値上がりするだろう。その値上がり分は収入となって電力会社に残るわけではない。毎年3~4兆円が燃料費として外国に流れていく。つまり値上がり分は、そのまま日本から失われていくのである。
 明らかなことは、日本が貿易赤字国になるということだ。こんな状態が10年も続けば、電気料金の高騰に耐えられない国内の製造業は相当数が倒産、または海外に移転する。10年で数十兆円、20~30年で100兆円もの国費が流出した状況で、日本の国力は失われ、雇用も激減する。税収も相当に減るので、これまでの国債の償還ができなくなる。1000兆円近い債務を残した国家破綻にもなれば前代未聞。それどころか、世界大恐慌の原因となり、グローバルな考え方に慣れていない日本人は相当に苦労する、いや、今の発展途上国並みの生活になってしまうのでは、と危惧する。

 今後、わが国の発電をどのように行っていくのか。
 仮に、今、LNG火力発電所を強化するために、シベリアから新しいパイプラインを日本に向けて建設するとしよう。順調に行っても、完成は20~30年後くらいだろう。その頃、ロシアの日本への対応はどのようであろうか。資源のない国、、経済的にも国力を失い、エネルギーが底をついた国に、天然ガスを安く供給してくれるなど夢物語。足元を見られて、理不尽な要求を付けられる、また高値での買取りということにならないか。これが電気料金の高騰にさらに拍車をかける。
 仮に、今、新しい原子力発電所を建てることを決断しても、用地の確保、環境アセスメント、地元の協力依頼、建設、その運転開始は早くても30年後である。
 私はこの世にいないだろうし、娘は50歳代中半、つまり今の私の年齢近くになっている。
 現実に、今、この時代に決めた方針が実現されるのは20年から30年後になるのだ。今のことや数年先のことを考える税金の使い方の議論とは違う。エネルギー政策とはそういうものだ。

 つまり、2030年代、2040年代の日本のエネルギーのあり方は、今、決めておかなければならないのだ。「2030年代に原子力発電を全廃」とか「再生可能エネルギーを飛躍的に伸ばせばよい」などと言っている人がいる。夢を語るのは勝手なことだが、現実的に裏づけがない議論は無責任である。中途半端にやってしまって、30年後に「できませんでした」では済まないのである。もっとも、これを叫んでいる人たちも30年後にはこの世にいない。今、きちんとしておかないと、30年後の社会が決定的な不幸を味わうことになる。

 エネルギーに関しては、私たちは、怖い、気持ち悪いなどの感情論に流されてはいけない。新年にあたり、多くの人々が現実的なエネルギー政策議論に向き合い、国も速やかに将来ビジョンを策定するよう強く希望する。

 エネルギーの安定は、国家安定のベースである。人の幸せの基本である。
 エネルギーの不安定は、即国民の不幸、いや戦争にもつながりかねないことを知るべきである。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )