2013 年 4 月 29 日
新たな経験と実感 その2 - リハビリその後
3月18日から始まったリハビリは、目算どおり3月の4週目、5週目と、毎日通って痛さに耐えた。4月の1週目もほぼ毎日。ここは毎日にこだわった。
それにしても、毎日通っていると、いろいろなことが見えてくる。
通院しているのは、地元に古くからあるベッド数が70くらいだろうかの病院である。昔は内科、外科、整形外科、眼科、皮膚科、産婦人科などをもつ総合病院であったが、今は整形外科がほぼメインで内科が併設されているだけ。もちろんリハビリテーション科もある。入院患者は老人が多い。その人たちも毎日リハビリ室に来る。ほぼ全員が車椅子で移動。ヘルパーさんに押されて来る。
部屋に来ると、私のような通院者と並列して順番待ちだ。皆、黙って待っている。混雑すると40分から1時間にもなる。私は最高2時間待ちの日があったが、この時は入院患者も相当の待ち時間であった。車椅子に座った状態で、待ち時間がこれほどになると、これもさぞかし疲れるだろうと思う。気の毒になる。病室は同じ建物の中にあるわけだから、もう少しタイミングよく移動させてあげられないものか。
順番が来ると、私の場合は加温があるので、総じて40分ほどのリハビリ処置だが、入院患者は多くが15分ほどである。
中にはまったく歩行できない人もいて、それでもベッドに横たわって、理学療法士の指導で足を動かす。立つことができる人は、さらに2本のバーを両手でつかみながら5メートルほどの距離を往復している。
こういった歩行訓練をしても、足元が相当におぼつかない人もいて、あれで本当に歩けるようになるのか、申しわけないが疑問であった。聞けば、例えば足の骨折などでリハビリをする患者だけではなく、脳の障害から歩行できなくなる人も多いようで、歩行そのものが目的ではない人もいるらしい。また、寝ることが中心の生活になれば、各部の筋力も当然に落ちてくるわけで、そうさせないための、いわばリハビリが生活の一部という老人もいるようだ。
それは仕方のない面もあるので、とにかく健康に留意して、適度に体を動かして、楽しく生きていくしかあるまい。
4月の2週目からは、研修の仕事が始まった。リハビリは週に1回にした。自宅でできる方法を聞き、とにかく腕を動かす。電車の中、街を歩いている最中、仕事の合間に腕を曲げる、伸ばす。限界まで来ると痛みがあるが、このころになると、痛さにもなれてきた。
自分で曲げれば、他人とは違い、痛さに耐えられる限界で力を弱める。そこをがんばって、短時間に、くいっくいっと押すようにする。
果たして、腕は自力で130度まで曲がるようになった。一般的には145度曲がると正常だというが、あと15度だ。とにかくリハビリを始めた頃は90度だったから、確かによい方向に治りつつある。
むしろ、伸ばすほうが痛い。まっすぐに伸びない。じっとしていても。腕全体に鈍い痛みがある。傷口もヒリヒリする。それでも一ヶ月前よりはいい。これは嬉しいことだ。
来年の春に、再手術して骨を留めているプレートとボルトを取り出す。完治までにはまだ1年以上かかる。学生時代に足を骨折したという人に聞くと「10年以上、違和感がありますよ」と。
私の骨折は、それとしては単純であり、しかも右手でなくてよかった。しかし、これがこれほど不自由さ、痛みをもたらすのか、なるほどこれが骨折というものか、本当にいい経験をした。
運がいい。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )