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2013 年 10 月 27 日

今どきの - M生命保険

 今年5月下旬に、私が加入しているM生命保険相互会社からアンケートが届いた。
 アンケートは、現時点で興味のあることは何かを問う内容であり、それに答えることで品物が当たるとのこと。担当ライフプランアドバイザー(要するに保険外交員、以下、アドバイザー)の者が6月末日までに取りに行くのでお渡しください、という趣旨であった。
 私はアンケートに記入し、いつ来られてもよいようにと妻に話をしておいた。

 締め切りの3日前、アドバイザーは私の家にアンケートの回収には来ていない。次の2日は、土曜と日曜にあたる。一般的には休業日だ。そこで、その日の17時前に、当該営業所へ電話したところ、私の担当アドバイザーという人に取り次がれた。
 こちらが、アンケートに記入して待っていたことを告げると、少したじろいだ雰囲気が感じられ「これから電話しようと思っていました」と、堂々とした受け答えである。さらに「いえ、明日にでも伺うつもりでした」「では、これから伺います」と話が二転三転する。稚拙な言い訳に聞こえた。
 現代人は理屈をつけるのが上手い。自分の失敗に何かと理屈をつけようとする。自分のミスであることを認めようとしない。このことは、私も時々反省する。
 それにしても、言い訳を塗り重ねるこのアドバイザーに、私は誠実さを感じなかった。この電話の趣旨は、非難ではない。問い合わせである。詫び言葉と反省の言葉のひとつも聞ければ、少しはイメージも変わる。今回の件は不作為だろうが、明らかに文面にある約束に反している。
 結局、このアンケートは、私が営業所へ持参した。ちなみに、私の自宅マンションからこの生命保険会社の営業所までは徒歩2分であり、直線でわずか100メートルである。

 このアンケートに答えた人には、抽選とは別に、後日もれなく参加賞のプレゼントが届けられることになっていたが、その後、アドバイザーからは何らの連絡はなく、プレゼントも届かなかった。私は、品物にこだわっているわけではない。ここまでの対応は、信用第一であるはずの大手生命保険会社がすることではない。文面に書いてあることがなされていない、実にお粗末な対応である。
 同社のコミュニケーションセンターに電話し、文書でも事態を通知した。手紙は、感情的に怒って書いたものではない、38年間お世話になった私にとって企業イメージは決して悪くはない同社への、現場でこんなことがありましたよというメッセージである。

 手紙を出したからだろう。8月末に、本社、支社の役職者、営業所長が我が家を訪ねてきた。詫びと謝罪、同社の現状を話され、営業所長は「今度は私が責任をもって、新しいアドバイザーを決めてご紹介します」と言い切った。私は、それなりの対応に誠意を感じた。
 そして、考えた。現在加入している死亡保険は更新しない。その代わり、入院時に補償される医療保険を中心に見直そうと。そして、今度のアドバイザーが、誠意を感じられる人であれば、相談してみようと思った。

 あの日からもうすぐ2カ月が経つ。現時点で、新しいアドバイザーの紹介はない。2度ほど郵便受けに名刺が入っていただけだ。メモはない。
 私の妻は専業主婦だ。たまたま買い物に出たその間に訪問してきたと思われる。不在なら、1時間もずらしてまた来れば、会えたはずだ。常識的には、電話してから来ればよいだけのことだ。行き違いはなくなる。電話の1本もない。

 そもそも、私が初めにこの会社の保険に加入したのは、母が大学生の私の20歳の記念にと、父が加入していた同社に加入してくれたものである。当時、毎月集金に来る外交員の方は感じのよい方で、それもあったのだろう。
 あれから40年弱、私は一貫してこの会社の生命保険に加入し、子どもが生まれた時には子ども保険にも約20年加入した。以来、保険金の請求をしたことはなく、ある意味で保険会社にとっては相当に優良な顧客なはずだ。
 しかしながら、私も年齢が50代後半にもなる。生命保険としては、この先は儲からない客ということなのだろう。時代の流れと刹那をも感じる。

 生命保険業界は、ここ10年、20年でずいぶん環境が変わった。外交員が顧客を訪問するスタイルから、サービスカウンターで受けるスタイルへ。さらに、インターネットでの加入や保険斡旋業の台頭がある。それは客観的には理解できる。だからこそ、本部がこういったアンケートを企画し、現場の外交員のセールスツールとして提供し、現場をテコ入れしようという意図なのだろう。しかし今回の件は、明らかに文面に書いてあることに反する。

 かつての生命保険会社は、外交員が毎月訪問して来て金銭を受領し、通帳のような冊子に印鑑を押していた。玄関先で世間話のひとつもして、保険外交員と顧客との間に毎月の交流があった。他社ではあるが「ニッセイのおばちゃん自転車で、笑顔を運ぶふるさとよ」というコマーシャルが懐かしい。
 今どきの生命保険会社は、こんなものなのだろうか。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )