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2013 年 12 月 27 日

この一年、私の杞憂か? - CO2

 地球環境温暖化を食い止めるため、世界環境会議が京都議定書(COP3)を採択し、世界の国々が温室効果ガスの排出削減を申し合わせたことは周知のとおりである。
 そして今年、環境省が2012年度の温室効果ガス排出量を発表し、国際会議で環境大臣が我が国の目標達成を宣言した。

 それによると、2008年から2012年度の5年間での、我が国の温室効果ガス排出量は、マイナス8.2%であり、目標であるマイナス6%を果たしたことになった。温室効果ガスは、実質的にはCO2である。
 しかし、この数字にはカラクリがある。我が国の実際のCO2排出量は、この5年間でマイナスどころか、プラス1.4%で増えている。これに森林吸収分をマイナス3.7%、他の国の排出権クレジット購入分をマイナス5.9%をカウントすることで辻褄を合せているのだ。

 この5年間では、CO2排出量は実質的に増えているわけだ。特に、2011年から2012年の最後の1年がよくない。この1年だけで2.5%増えているという。
これは、2011年の東日本大震災の影響で、全国的に省エネ意識が高まったことが影響している。そこで一時的にマイナスに振れ、2012年度に戻ってしまったと考えるのが自然だろう。
 最も多くの割合を占めているのは、産業用エネルギー源の排出量2%増である。これは原子力発電所の休止により、火力発電所の稼働率アップによる。日本は、石油火力発電所は少ないが、石炭や天燃ガスの発電所稼働の大幅な増加がこの結果を生んだ。
 また、家庭でのエネルギー消費である。こちらは、7.6%増、もはや省エネなどどこへやら、といった状況である。

 今年を振り返ると、夏が暑かった。熱中症で死亡した人の数は、100人を超えた。あちこちで、これまでにあり得なかったほどのレベルの集中豪雨があった。伊豆大島の災害は記憶に新しい。多くの人が家を失い、命が奪われた。フィリピンの台風など、あれが日本に来たらどうなるのかと、恐ろしい気持ちにもなる。竜巻の突風が猛威を振るった。これも、ここまでのことは、私の過去の記憶にない。今までに経験しなかった出来事が、起きるようになった。

 函館では、烏賊が例年の半分ほどしか獲れなかったという。普段あまり獲れない釧路や根室で大量に獲れたらしい。農作物も栽培の北限が上昇しているという。
 何かがおかしいと多くの人は思っているが、自分の目の前に起きて実感できていない問題は、危機感が具体的にならない。しかし、これらはCO2排出による気候変動であることに原因があることは、多くの人が分かっているのではないだろうか。

 今年一年のできごとを思う時、自身の怪我や入院、友人の事故、社員の採用など、いろいろあった。社会的にもオリンピックや知事の辞任など、良いこともあったが、考えさせられることも多かった。それはそれ、人生、何があっても受け入れなければならないし、何があっても運がいいと思うより他はない。

 しかし、私が最も心配なのはエネルギーリスク、環境リスクである。これらは、ちょっとやそっとの人の意識では解決がつかない。政治家だけではなく、社会一般の人々も、(元総理も、)真剣に議論し、現実的な解を見出してほしいものである。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )