2014 年 5 月 22 日
老いるショック その2 - 五十肩
去年の10月ごろから、左腕を上げると痛みが走るようになった。後に伸ばすと特に痛いので、車のバック時に右方向に振り返ると左手でハンドルが回せない。飛行機で頭上の物入れを開けるときにも激痛が走る。上着のそでを通すときにも痛い。いわゆる五十肩だ。
私は、以前にもこの診断を受けたことがある。そのときは実年齢が40歳くらいだったので、五十肩という病名はいささかショックだった。今は、年齢が60歳に近いので、かえって嬉しい気にもなる。かつての時は、痛くて腕が上がらず、黒板に字が書けなかったほどだったのだが、特に何もせずとも不思議に2~3週間で治った。
今回は、腕は上がる。そういう意味での不自由さはないが、後ろに回せない。また、半年以上も痛みが続いているのである。かつてとは大分印象が違う。
何となく原因は分かる。昨年の骨折で、左腕に金属のプレートが入っていたので、何かと腕を動かすバランスが悪かったのかもしれない。それが不自然な形で、筋肉の固化、炎症を起こしたのかもしれない。私はそう疑っている。
五十肩は、男女差はなく年齢とともに増え、肩の筋肉を使わない人に多いのだという。私はパソコンで原稿を書くことが多いので、仕方がないのかもしれない。
今年3月には、プレートを除去する手術をした。そういう意味で、やがては治るかなと思っていたら、手術の約1カ月後、今度は右が痛くなった。首を前後に曲げると、上腕の内部に痛みが走る。激痛というより、鈍い痛みだ。右側とは痛みの質が明らかに違う。ときには、何もしなくても痛む。夜間、就寝中に鈍い痛みがあると、寝られない。仕事で原稿を書くにも、傷みがあると発想が湧かず、執筆が進まない。
骨折の手術をした病院で、そのことを訴えたが、主治医ははっきりしたことを言わなかった。普段から体操をしてください。そのうちに軽くなるでしょう、といったノリだ。念のために、他の整形外科にも行って、飲み薬をもらってきたが、パッとしない。
どげんかせんといかんと思い、鍼灸院に行くことにした。
ちょうど今年、鍼灸院向けの雑誌「医道の日本」に連載を書いているので、その視察、ネタ探しも兼ねて、これで痛みが取れれば一石二鳥というわけである。
雑誌の編集者に聞くと、実績のある鍼灸院は、平均的に、1回5000円から6000円かかるという。私は今まで、何度か鍼灸院に行ったことがある。それは自宅の近く。費用は3000円くらいだったが、世間の相場はそういうことではないらしい。
雑誌の編集者に、評判の良い治療院を紹介してほしいと頼み込み、お茶の水のある治療院を紹介してもらった。
奇麗な院を仕切る院長は、30歳代の美人女性。2つの治療室は清潔で、センスの良い飾りが施され、タオル類は厚手で清潔、治療が終わるとハーブティもサービスされる。リラックスできる60分である。自宅の近所の治療院とは確かに違う。自分も違いの分かる男になったか。
それはそれで気分が良い。費用はかかるが、リフレッシュにもなる。月に2回ほどのペースで通うように指導された。まだ2回しか通っていないのだが、痛みは多少軽減したようにも思うが、気のせいか。最近は、湿布や鎮痛クリームも併用しているが、実際には、まだまだ痛む。
いずれにしても、こういう経験も人生の楽しみと思うことにする。運がいい。でも、この先、足が痛い、腰が痛いなど、似たような現象がますます出てくるのだろうか。
このことを友人に話したら、宗教への入信を勧められた。
密かに思う、老いるショックである。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )