2014 年 10 月 30 日
この先の日本が心配です その4 - イスラム国報道に思う
今さら申し上げることでもないが、とにかく日本には自給できるエネルギーがほとんどない。IEA(国際エネルギー機関)の2012年の統計で、一次エネルギーの自給率は6%であるという。しかもこの数字には、原子力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電、水力発電の各再生可能エネルギーが含まれていて、これらを除くと2%を割り込む。つまり、まったくといっていいほど、自給できていない。つまり、そのすべてといってもいいほどのエネルギーが輸入されているのだ。
輸入されるエネルギーの中で、大きな位置を占めるのは原油とLNG(液化天然ガス)である。これが入らなくなると、発電できないし、車は動かない、プラスチックや化学繊維等の製品も作れなくなるから、国は大混乱に陥る。当然に税収は減り、円は世界の通貨に対して極端に安くなる。端的にいうと、相当の国民が職を失い、福祉は破たんし、ホームレスの人々が町にあふれるだろう。
2013年の貿易統計によると、原油の輸入先は、サウジアラビアが1位で全体の31.8%、次いでUAEが22.7%などとなっていて、その他の国も含めると、いわゆる中東諸国から実に83%もの原油の供給を受けているという。その中には、政情が混乱しているイラクやイランも含まれる。
LNGは、オーストラリアが20.5%で1位だが、2位がカタールで18.4%、中東諸国からは約30%も輸入しているのだ。
何が言いたいのか。
例えば、最近話題のイスラム国である。日本の大学生にも、この部隊の兵士になって、戦闘に加わろうとした者がいたという。こういった、今までの秩序を乱す勢力が台頭したらどうなるか。中東情勢はまたも不安定化するだろうことは明らかだ。
イスラム国について、私は詳しいわけではないが、それだけに不気味だ。この勢力が力を得ても、地政学的に直接的な影響はないとは思うが、中東情勢が不安定化するとホルムズ海峡はどうなるのか。もしこれが通行不可能になれば、日本に入って来る石油の多くは止まってしまう。
日本には、このシーレーンを確保するだけの力がない。これをアメリカに頼っているわけだ。しかし、昨今の状況をマスコミで知るにつけ、アメリカを始めとする国々が対策に乗り出しても、中東の混乱はそう簡単には終息しそうもない。
私としては、それが起きないことを神様に祈るのみだ。つまり日本のエネルギーは神頼みなのだ。杞憂だろうか。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )