2014 年 12 月 17 日
プレゼント その2 - 思いが伝わることを願って
プレゼントを送る時には当然に相手が喜ぶものを選ぶわけだが、私が今までにお送りしたプレゼントは、果たして相手方にどれだけ喜んでいただけたのか。今にして忸怩たる思いもある。その選択には多分に自己満足も入るからだ。
しかし、それはそれでいいのだと思う。プレゼントをもらう方も、相手のらしさがあってこそ感じることがあるのだろう。すると、プレゼントは品物そのものの価値や有用性ではなく、贈る人の思いなのだ。
そのことはいただく立場でもあることだ。贈り主は、喜んでくれるだろうと思うから、それを選んだのだろうが、それでも、いかにも迷惑する物もある。困るのは、趣味の合わない物、しかも手作りのプレゼントだろうか。
それはそれでありがたくいただくのがよい。要するに、思いを受ければいいのだから。しばらくは飾っておき、眺めてみて贈った人の思いを感じてみる。その上で、それでも嫌な物なら、意を決して処分すればいい。心をこめて何日もかけて作った作品は、捨てにくいかもしれないが、今はデジカメがある。撮影しておけば、思い出には残る。
最近、ある方から手作りの焼き物「ムーミンハウス」をいただいた。これは、趣味に合ったので、玄関、今はリビングに飾ってある。趣味に合えば「ありがたい」感謝の一言である。
記念品や結婚祝いなども要注意だ。記念だから、これも処分しにくい。
ずいぶん前になるが、私が家内と結婚したときには、来客用スリッパ5足セット、マグカップセットが複数、エプロンも4つ、5つ届いた。私は、結婚当初、親と同居していたので、スリッパセットは要らない。マグカップセットも一つで良いし、カップくらいは自分の好みで買いたい。趣味が合わなければ、使う気にならない。家内は、エプロンを使う習慣がないので不要だった。
相手が本当に喜ぶものとは何か。一番良いことは、相手に聞いてみることだ。最近はフランクになったようで、友人同士なら家電製品などを手分けして贈るということもあるようだが、大いに結構だと思う。欲しいものを正直に言わないこともあるだろうが、正直なところ、冠婚葬祭、入院見舞などの時はお金が一番ではないか。
経験というプレゼントはどうだろうか。豊かな時代、品物は埋もれるが、経験はその人の中で良い思い出としていつまでも残る可能性がある。
ずいぶん前のことである。転職を考えている友人に、転職を経験した私の知人を紹介して一緒に食事をした。結果、その友人は転職をせず、その会社に留まった。
別の友人には、ある人の講演会のチケットをプレゼントした。有名人の講演を聞く機会は、そう多くあるものではない。また、得るものもある。思い出に残ってくれているだろう。
地方にお住まいの方が上京したら、例えば、東京でしか食べられないものを一緒に食べに行くのも、食事の提供という意味ではなく、経験として残る。それなりにこだわりと食への解説を必要とすることはいうまでもない。ただし、食に興味のない人には、無意味かもしれない。
個人的には「劇団四季」のミュージカルも良いと思う。チケットをプレゼントして、一緒に行くのもいいだろう。これも普段から行っている人ではなく、初めての人で、結果的にミュージカルを気に入ってくれそうな人に、である。私が贈ったものではないが、ミュージカル2時間半のうち、2時間以上寝ていたという人もいるので要注意だ。
私は、ここ2~3年、モーターボートに乗っている。2時間ほどのクルージングで、海から見るお台場、東京のビル群、隅田川から見るスカイツリー、川から見る浅草、日本橋、お茶の水などを案内すると、多くの方が喜んでくれる。思い出として残ってくれれば、良いプレゼントになると信じている。
私は、今年、仕事で独立してから20年になる。お世話になった人に何か記念の品を送ろうと思い、所属の講師にフランクに聞いてみた。何をもらったら嬉しいか、と。私より人生経験の上の講師は、正直に答えてくれた。「この歳になると、欲しいものはない。いかにして物を減らそうかと考えて暮らしているので、置き物などの記念品は困る。」と。
家内に相談したら「残らない物がいいんじゃないの。あなたはワインが好きなのだから、それにしたら。」と。なるほど、ということでワインにした。飲んで終わりである。空き瓶を2~3週間も飾ってくれればそれでいい。一部の方にはボールペンにした。ボールペンはかさばらないし、ある意味で消耗品だ。現役で仕事をする方は、使い切ったら処分してくれるだろう。
ワインが嫌いな人はどうするのか? まあ、そう言わないでください。思いを感じていただければ、と願うばかりですから。
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代表
関根健夫( 昭和30年生 )