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2015 年 5 月 11 日

他人のことは言えない - 近海魚の減少

 鮪(まぐろ)、鯵(あじ)、鯖(さば)、鰯(いわし)、鰻(うなぎ)、どれも庶民が好む、日本近海で獲れる魚である。
 先日、テレビを見ていたら、これらの魚の近海での漁獲量が減少していることを特集していた。その原因は、今のところ地球環境の変化というレベルではなく、獲りすぎてしまって量が減っているのだという。意外だった。鰻はともかくも、あじ、さば、いわしなどはどこの海にも泳いでいそうな感覚だったからだ。

 例えば、まぐろである。ミナミマグロ、クロマグロ、インドマグロのような遠洋の物は別にして、日本の近海にも本まぐろは多くいる。江戸前、つまり江戸時代には東京湾でも獲れたという。そしてそれは、かつては庶民の食べ物であった。その漁獲量が減っているというのだ。
 何故か。原因は成魚になる手前の段階で大量に獲ってしまうかららしい。またテレビの特集では、船そのものの性能、魚群探知機の性能、漁獲技術の向上で、個々の船がどこにでも出かけて行くことができて、小さいサイズの魚の群れも正確に探知でき、その群れを根こそぎ獲ることが可能になったのだとも解説していた。なるほど、である。

 テレビで紹介していたある船のオーナー漁師は「大きいサイズの魚が獲れなくなったから、小さいサイズを獲るしかない」と言っていた。例えば、小さいサイズのマグロは価格が安く、場合によっては他の魚の飼料にしかならないのだという。それならば、小さいサイズの魚の漁は自粛したらどうかと思う。
漁師は言った。「従業員の生活があるし、この群れを見逃してもどうせ誰かが獲るだろうから」と。
 そういえば、地方の居酒屋さんで、最近「よこわ」というメニューを目にする。これはまぐろの幼魚だという。値段はそれほど高くなかった。私も何回か食べたが“どうせ誰か”のお世話になっているのだった。

 最近は近畿地方のある大学がまぐろの養殖に成功したとかで、話題になっている。それ以前からも、鯛やはまちの養殖は盛んであった。スーパーマーケットでも安く売られているし、私たちはそれを普通のこととして受け入れている。しかし、これらの魚を1キログラム養殖するのに、イワシなどの魚が約7キログラム飼料として使われていることもまた事実である。健康に悪い脂肪分いっぱいの白身魚を、健康に良い青魚を7倍も犠牲にしている。例えば、そのイワシが獲れなくなっているのだ。

 魚も地球環境の一部、限りある資源の一部である。その量を保全することは、環境を守ることでもある。最終的に人間を守ることにつながる。日本人が生きていくために、必要な考え方である。漁をする人も食べる私たちも、そのことに興味をもって、まさに再生可能な環境保全を考えるべきではないか。

 このテレビ番組を見ていて、最後に思った。
 待てよ‥‥‥。最近、どこかで似たようなことがあったぞ‥‥‥。
 中国人によるサンゴ猟である。「けしからん!」ことと腹が立つが、他人のことは言えない、か?

代表

関根健夫( 昭和30年生 )