2015 年 6 月 9 日
それを風評加害というのではありませんか その2 - 箱根大涌谷
この度、箱根大涌谷の火山活動が盛んになった影響で入山規制が行われた。小さい頃から何度も箱根に行き、私にとっては思い出がいっぱいの箱根である。好きな観光地の一つであるし、今も時々訪れる。箱根が好きな私としては心が痛む。
このニュースが、連日マスコミで取り上げられたのは、約一月前だ。火山性微動が増えていることから始まり、地層の膨張、危険情報、さらに入山規制、箱根ロープウェイの運休。そして、風評被害で観光客が減っている現実、みやげ物店にはお客が少なく、ホテルや旅館の宿泊客が減っているというコメント。マスコミ報道は、これでもかこれでもかの様相であった。
ある朝の情報提供番組では、
「風評被害を恐れている。正確な情報提供に努めて、観光客の皆さんに安心して来てもらいたい」
との現地の行政関係者のコメントを流した直後に、地震学者のコメントをパネルで紹介していた。
「溶岩が2キロから3キロの範囲で流れ出すような、噴火が起きる可能性は十分にある」と。
確かに、あらゆる事象は、学問的に可能性を否定することはできないのかもしれない。しかし、溶岩マグマがそれほど流れ出る噴火が起きる可能性が十分というなら、その確率なり、緊急性を数値で示さなければならない。それが常識というものだろう。4年前に放射能の影響を煽った、インチキ学者のコメントから進歩していない。
私は地震の専門家ではないが、少なくともマスコミで報道された気象庁の発表や多くの識者のコメントを総合すると、危険が指摘されているのは最大でも水蒸気爆発のようだ。大涌谷近辺で起きた地震の震源は3キロ程度。箱根周辺のマグマ溜まりの深さは、浅いところで10キロ程度であるという。雲仙普賢岳や御嶽山、有珠山などのような規模の爆発ではないようだ。
ある土産物店の女性店主は、記者からの「今、一番困っていることは何ですか」というインタビューに対してこう答えた。「もう、困っています。マスコミの取材が多く、テレビで取り上げるので、大ごとになってしまって‥‥‥」
報道することを否定するものでは、決してない。ただやり過ぎ感はあると思う。大涌谷という観光スポットは箱根全体のほんの一部である。立ち入り禁止区域は、その大涌谷の一部であり、半径300メートルの範囲である。確かにその上を通る箱根ロープウェイが運休しているのは観光客にとってはつらいが、箱根はほぼ全山が元のとおりの様相だ。
「このままでは、仙石原に供給される温泉の量に影響が出かねない」とニュースで報じられているが、今のところは量的には変わらず供給されている。正常な状況ではニュースにならないので、異常な状況を想定し、その可能性をニュースにする。この国のマスコミのよろしくない常套手段だ。
おかげで、仙石原の旅館はお客が敬遠しているのだという。
最近は、箱根はニュースにもならない。口永良部島が噴火したので、そちらに取られた格好だ。箱根の方々は、ある意味ほっとしているのかもしれない。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )