2016 年 4 月 29 日
皆さん知っているのかな - 電力小売自由化に思う
4月1日から電力の小売り自由化が実施された。今までは一般家庭では、北海道から沖縄まで全国10の電力会社からしか電気を買うことができなかった。電気の供給は地域ごとに独占されており、例えば北海道は北海道電力、関東なら東京電力、中部地方なら中部電力などと決まっていたわけだ。これからは10社以外からも買うことができる。
現時点で届出のあった電力小売り業者は、全国で約300社。私の住む東京都大田区でも、地元の東京急行電鉄が駅で盛んに勧誘している。そのほかにも東京ガスや石油会社がセットで割引を提唱、AUやソフトバンク、HIS系列のハウステンボスも契約を勧めてくる。東京では、中部電力、東北電力、北陸電力をはじめ既存の電力会社からも電気が買える。各社とも新しい契約メニューを発表し、割引合戦は花盛りである。
ニュースなどを見ていると「安ければいいです」などとインタビューに答える市民の姿が散見される。確かに安いほうがいい。しかし、どれほど安くなるのか、それが問題である。東京電力が当初発表したモデルでは、月に700KWHを使う家庭では、年間6000円ほど安くなるという。
ちょっと待ってほしい。皆さんは自分の家の電気について、毎月どのくらいの使用量があるのかご存じだろうか。電気料金については、3段階制があることをご存じだろうか。もちろん知っている方もおられるだろう。しかし、私が全国各地で世間話程度に聞いた経験では、自宅の電気の使用量がどのくらいか、電気料金は3段階制の単価によって積算されていることをご存じない方も多い。
例えば3段階料金である。
一般家庭の電気料金の単価は、1時間当たりのキロワット当たり、地域、年度によって差はあるものの、120KWHまで約19円、300KWHまで約26円、300KWHを超えると約30円である。ちなみに東京電力の場合、2015年7月の時点で、それぞれ19円43銭、25円91銭、29円93銭である。
私の場合、夏冬は400KWHを超えることもあるが、春夏は300KWHを超えないことが多い。ちなみにこの4月は269KWHである。つまり一番高い3段階目の単価にならないことが多いのである。東京電力をはじめ、各社の割引は300KWHを超える単価に比重がかかっており、私のように300KWHにも満たない月はあまり安くはならないのだ。
これらのことは、インターネットに比較サイトがあるので試算できる。しかし、もう一度申し上げるが、省エネを実践している家庭ではほとんど差はない。多少の料金に差があっても、付帯するサービスをどう考えるかだ。
東京電力では家庭内の電気の故障にも係員が無料で来てくれるという。他社はこのサービスがないところもある。私の家の料金には電化厨房割引があるが、これも他社にはないはずだ。ハウステンボスでは1段料金から3段料金までの単価が一律に東京電力より5%安くなるというから、比較的使用量の少ない家庭ではつかい勝手が良いかもしれない。ポイントによってHISの旅行が割引になる。その他、通信会社は通信料金の割引、ガス会社はガスの割引、鉄道会社は定期券購入時にポイントが多くつくなど、付帯サービスはいろいろだ。
最後に、多くの電気販売会社は取引市場から電気を買って小売しているので、この先、市場単価が上がると小売単価も上がる可能性がある。電気の契約には、携帯電話にありがちな2年縛りを設けている会社もあるので、途中で解約ができない。目先はともかく、よーく考えて契約先を選んだら良い。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )