TOP 1つ戻る

ブログ

2017 年 4 月 13 日

原発避難いじめ - これは刑事事件である

 先ごろ、原発避難者に対するいじめの問題がマスコミに流れた。福島からの避難者の中学生、高校生の名前に「菌」を付けて呼んだり、補償金をもらっているだろうことを理由に、飲食をおごって欲しいと同級生が無心したりしたとの話である。
 実に嘆かわしいことだと思う。放射能や原子力発電、いや、社会、人間の尊厳への、あまりの無理解が根底にある。豊かな社会の闇の部分だろうか。豊かなことが当たり前だと思っているのだろうが、私たちが今ここで豊かに生きていられるのは、誰かのおかげである。そのことを思うとき、社会が理解できるわけであり、人への尊厳が生まれるのであろう。人は誰もが、自分一人で生きているわけではないのだ。

 福島に限ったことではない。東京で使われている電気のうち、東京で作られているのはほんのわずかだ。神奈川や千葉の発電所からも来ているが、安定して電気を使えることの恩恵は、茨城、福島、新潟の発電所からの安定した供給があったからだ。特に福島と新潟の原子力発電所からの電気は、100%東京近辺に送られていた。原則的には地元に供給されていないわけだ。福島の人々は、関東に住む私たちがこれまで安定した電気を使えていたことの恩人といっても過言ではない。もちろん、福島の人が銀行でお金を下せるのは、その電気を使ったコンピュータセンターが、東京を中心にコントロールされているからである。お互いさま、おかげさまなのだ。

 その福島で、6年前に不幸なことが起きてしまった。誰の責任かでまだもめているようだが、基本は700年とも1000年ともいわれるほどの単位で起きた地震だ。ある意味で人間の英知で防げなかったことなのだ。人間は万能ではない以上、それを教訓として協力して生きていくしかあるまい。そんなことを知ってか知らずか、福島からの避難者を侮辱する行為は実に破廉恥である。

 今回は、それが中学、高校で行われていたという報道であった。それは大人がしっかり教育していくしかないだろう。もっとも大人の社会でも、例えば福島ナンバーの車にはガソリンを売らないなどのトラブルがあったというから、国が情報提供をしっかりするしかあるまい。国が民意をコントロールしすぎることは危険なことだが、ことエネルギーに関しては国家の安定の根幹にかかわる。もっとはっきり言っていい。
 いずれにしても、子どもたちの避難者いじめ、もっと厳しく指導すべきである。横浜のケースでは、飲食を無心した金額が200万円にもなっているという。いじめた子の親も、いじめられた子の親も、気づかなかったのだろうか。市の教育委員会は、当初、合意のもとでのおごりであり、いじめには当たらないと回答したという。現時点ではこの主張を撤回、謝罪しているとのことだが、中学生、高校生が200万円もの飲食をおごっても問題にならないと判断した教育委員会の常識を疑う。日本が豊かな国というべきか、平和ボケというべきか。

 これは、いじめではない。立派な犯罪、恐喝だ。刑事事件にすべきである。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )