2017 年 7 月 21 日
留萌に行って来ました その2 - 留萌市の前後の街に思う
ずっと以前から行ってみたかった留萌の街を訪ね、満足感いっぱいの旅であったことは間違いない。留萌は寂れた感は否めなかったが、現在も地域の中核都市であり、住環境としては評価すべき街である。街の中心部にスーパーマーケットもあるし、街道沿いには大型ドラッグストア、アパレルショップ、飲食店などもある。ホテルもあるし、丘の上からは市内が一望できるビューポイントもある。カズノコの加工では現在でも日本一だから、水産加工で街の魅力を発信していくことも期待できる。
留萌を訪問する前に、増毛町に立ち寄った。ここには、日本最北の酒蔵「国稀」がある。全国鑑評会で上位に入ることの常連の酒蔵で、今も木造の建物で日本酒を造っている。今回の目的地は留萌であったが、国稀酒造にも寄ってみたかった。小さな町の中心部にある酒蔵には、観光バスからの観光客、仕事で来たついでに立ち寄った様子の会社員のグループ、私のような個人客、バイクでツーリング途中の人など結構な人の数があった。見学者は無料でガイドを受けることができ、実際の酒蔵の一部を見学できる。無料試飲コーナーもあり。そこには団体客が群がっていた。関西から来たグループのようだったが、特に女性が「飲まなければソン」とばかりに積極的に飲んでおり、帰りに売店で結構な本数を買っていた。
その近くには、地元の名士の旧家が重要文化財として見学を受け付けている。去年廃線となった留萌本線の終着駅、増毛駅の駅舎が残っている。駅の前にはこれまた文化財級の木造3階建の旅館らしき古い建物もある。増毛の港は留萌ほど大きな港ではないが、漁船がたくさん係留されてあり、魚市場も毎日使われているだろうことは容易に想像できた。プレジャーボートを扱うマリーナもあった。それなりに活性化しているようだ。
きれいなホテルはないが、古い木造旅館はいくつかあって、ライダーハウスの感じであった。街並みいう意味では、留萌より観光地的な風情があった。この街も一度は訪れる価値がある。
留萌の後に恵比島駅に立ち寄った。ここはHNKの朝の連続ドラマ「すずらん」で舞台になった明日萌駅として使われた場所である。本来の駅は、3坪ほどのコンテナが置かれているだけの無人駅だが、ドラマのロケの明日萌駅は、駅長事務室、待合室がある、その時代の典型的な建築で、駅舎の隣に住み込みの駅長宅がある。駅長宅は実際には玄関のみが造られていて、室内での生活はスタジオで録画したらしい。
ドラマは、大正時代。炭鉱で金と人が集まるその駅の待合室に乳児が捨てられる。奥さんに先立たれた独身の駅長が、その子を妻の生まれ変わりとし、萌と名付けて育て上げるというストーリーだ。萌はやがて上京し母親捜しの人生へ、そして結婚、子育て、老後は孤児を育てる社会活動へとつながり、やがて北海道へ戻り人生を閉じるというストーリーだったと思う。私は朝ドラを見る習慣はないのだが、北海道好きの私としては、当時このドラマをかなり入れ込んで見た。その切ないストーリーに今でも、胸が痛む気がする。
この駅には、7~8年ほど前にも、旭川に行く途中に家族旅行で立ち寄った。当時は観光客も多く、駅舎の内部も公開されており、ドラマでも使われた駅前の中村旅館は、すずらん記念館として営業していた。
今回、駅舎は閉鎖、手入れもされていない様子で、中村旅館も建物だけが残るのみ、周囲には住民も観光客も誰もいなかった。
あのドラマも1999年だったかと思うと、そうか18年も前か。時の流れを感じずにはいられなかった。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )