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2017 年 8 月 13 日

便器考察 - 13リットルの水

 13リットルの水と聞いて、これが水洗便器の水量の規格であることをイメージできるのは、建築設備に詳しい人しかいないだろう。日本の水洗便器は1回で流れる水の量が13リットル以内とJIS規格で決まっている。大量の水を無駄に使わないようにするためである。
 それが、10年ほど前に4.8リットルという規格が出てきた。省エネ意識の高まりと技術の進歩でそれが可能になったからだ。ただし、あまりに流す水の量が少ないと、下水管が詰まってしまうから、少なければいいというものでもないのだが、単純に考えれば半分以下の水で流せるのならそのほうがいい。私は13リットルを流す度にもったいないと思っていた。

 我が家のトイレにはウォシュレットがついている。これは、もともとあったものではなく、15年ほど前に量販店で買って来て自分で取り付けたものだ。おしりを洗う温水は貯湯式である。貯湯式は、常に1リットルの水を温めて溜めておき、必要によって水道の水圧で吐出するわけだ。この方式ではいつ使うか分からないおしり洗浄のために、常に温水を維持しているのだ。その間、保温するのでヒーターは常に通電しているわけだ。また、使う水の量が1リットルを超えてしまうと冷水になる。これも不便だが、当時のウォシュレットはその方式しかなかった。
 この機構に瞬間加熱式が出てきた。強力なヒーターがおしりを洗浄するために必要な水だけを瞬間的に温める方式で、その時には大きな電気が流れるが、常に温めて貯湯するわけではないので電力の節約になる。

 もう1つ、ウォシュレットの便座ヒーターは常に温めている方式だ。これも便座に座る1日に数分の時間以外も便座は熱せられているわけで、それは放熱が続いているわけだ。いわば空気を温めているようなものである。これにも最近、瞬間加熱式が出てきた。最低限冷えを感じない程度に保温しておき、便座に座った瞬間に温める。一瞬にして温かさを感じる温度まで上げるので、電力量は相当に少なくなる。

 以上のことを知っていたので、我が家のトイレはもっと省エネできると忸怩たる思いでいた。買い替えることも考えたが、そうはいっても使える機器を取り替えるのもまたもったいない。そう思っているうちに、今年の3月、ウォシュレットから水が漏れだした。以前からも、ほんのわずかに漏れてはいたのだが、いよいよポタポタときた。これは買い替えのチャンスである。5月に買い替えた。

 妻が、人生最後のトイレだからストレスのないものにしたいと言うので、ウォシュレット付の便器本体の交換を決断した。今、売り出し中のTOTOのネオレストだ。本体は40数万円のものだが、そこは元建築の仕事にも就いていた経験から、本体は半額程度で手に入ることは予想がついた。後は、取り付ける工事費と今の便器の取り外し処分費用が乗るだけだ。消費税込みで30万円の心づもりで数社に見積もり依頼をしたら、ほぼそのような結果になった。水と電気の節約で30万円ものコストが回収できるわけではないが、いくらかでも確実にエネルギーの節約になれば、それはそれでよい。使い勝手が快適ならそれも良しとしよう。
 結果、妻も喜んでいるので、まずはめでたし、めでたし。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )