2018 年 3 月 1 日
鎌倉ものがたりを見ました ― 時空を超えたロマンス
鎌倉といえば、寺社仏閣、大仏、海岸、南に続く逗子、葉山、東には江の島、茅ケ崎と全国レベルでも有名な観光地である。大田区、つまり東京の南部に生まれ育ち、伯父が一時期茅ヶ崎に住んでいたこともあり、鎌倉方面には子どものことから何度か連れて行ってもらった。
私の人生の師である故M先生のご自宅があり、今も年に一回のお墓参りに行く。尊敬する土光敏夫氏のお墓も安国論寺にある。鎌倉時代から続く歴史あるたたずまい、落ち着いた街並み、小町通りの賑わいも魅力的な地域である。
鎌倉ものがたりという映画を見てきた。
映画は、ある学者のもとに若い女性が嫁ぐところから始まる。二人は仲睦まじく暮らしているが、この女性にははるか昔の平安時代に魔物が恋をして求婚したが叶わず、今の時代になってしまったという運命があった。この魔物がこの女性の現世において死を与え、嫁にしようと黄泉の世界に連れて行ってしまう。それを夫である学者が、生きたまま黄泉の世界に連れ戻しに行くというストーリーだ。あり得ない設定ではあるが、生と死の尊厳を感じさせる厳かなシーンもある。
映画の終盤で学者とその魔物との戦い、そこだけは激しいシーンが続くので、生死についての静かなる思いが失せてしまう。印象として残念だが、娯楽作品と考えればあきらめもつく。
実は、魔物だけではなく、この学者も平安時代にその女性と知り合っていたという時空を超えたロマンスが織り込まれている。君の名は、というアニメ映画もそうだったが、実は妻とはずっと以前の時代にも出会っていたのかと思うと、なんとも切ない運命を感じる気持ちになる。それは、今の自分が幸せだからこそだと、ユーミンがそれらしく歌っていましたね。失礼!
ストーリーの背景として、鎌倉では黄泉の世界に行く前の死者の霊がそのままの姿で生活している、魔物が棲んでいる、黄泉の世界に行く電車が一定の日時に出ている、などという空想上の設定が数多く出てくる。江ノ電極楽寺駅の周辺のロケシーンなどもあって、映画全編に鎌倉の雰囲気が感じられたので、まあ満足。
友人にそのことを話したら、あの映画は鎌倉で撮影されたものではない、多くのロケは鎌倉とは全く別の場所で行われたと、……。
うるさい!
鎌倉ものがたりなのだから鎌倉なのだ。
それでいいだろう!
代表
関根健夫( 昭和30年生 )