2018 年 3 月 28 日
私にはよく分かりません - 財務官僚
国会において、前理財局長S氏の証人喚問が行われた。森友学園問題だ。国有地を不当に安い金額で売却したのではないか、その答弁の信ぴょう性は、公文書を書き換えて国会にいわば虚偽文書を提出したのはなぜか、その過程で総理大臣、その妻、何らかの政治勢力が介入していたのではないか、などとの疑惑からだ。
結果は、刑事訴追の可能性を理由にし、核心部分はほぼすべて証言拒否。明確に答えたのは、総理大臣、妻、政治勢力の介入はなかったということ。ではなぜ、となると答えない。想像どおりの結果だった。
見方を変えると、あの元理財局長、まさに“あっぱれ”である。政治家の立場を守り、部下の立場を守り、現実に土地の売買があった時期に担当した前任者の立場を守り、自分がすべてを仕切ったことを認め、責任は自分一人にあることは述べたが、その理由を一切言わずに乗り切った。政権を支える公務員の立場としては、実にうまく納めたといえる。肝心なことを隠し通したという意味で、彼の立場では大成功だったろう。
かつて証人喚問のシーンは何度か見たが、緊張感から過度に震える人もいた。人前で話す時は誰でも緊張するものだが、彼は憎々しいほど落ち着いて、適度に感情を込めて答えていた。私は毎日のように人前で話をするが、あれを言えばよかった、あれは言わなければよかったなどと反省はしきりだ。緊張して思うような話ができなかったことはよくある。あそこまでしたたかに話せると、うらやましくもなる。
昨年、森友学園の前理事長K氏も国会の証人喚問を受けた。彼のほうがふてぶてしい態度ではあったが、発言に正直な印象を感じたのは私だけか。
刑事訴追の可能性とはいえ、公文書を書き換えたくらいでは、仮に有罪になってもそれほどの刑にはならないだろう。そうだとするなら、これだけ社会の不評を買っているのだから、もう少し踏み込んで答えてもいいのではないか、私も含めて多くの人はそう感じているのではないかと思うが、所詮これは感情論である。理屈を極めた人に説得力はないだろう。
彼を財務省においておくのはもったいない。外務省に移ってもらって、かの国との交渉に当たらせたらどうか。いずれにしても、国民を支える国の代表といってもいいほどの地位の国家公務員の立場、私にはよく分からない世界である。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )