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ブログ

2018 年 12 月 6 日

外国の人の就労に思う - 人の尊厳を守れ

 こんなタイトルで意見を述べるにしも、私には国際性などという言葉は似つかわしくはない。英語はできないし、世界のことはおろか日本のことさえもよくわからない。こんな私に外国の人のことを論じる資格はない。でも。

 この文章を書いている今、国会では外国人の労働者を受け入れる法案が審議されていて問題になっている。日本は高度経済成長期から産業構造が大きく変わっている。現実にGDPの8割近くがサービス業になっていて、物販、飲食、運輸、流通、介護など、どこも人が不足しているのだという。現実にコンビニには外国人の店員が多いし、居酒屋などでも珍しくない。数年前に私の住むマンションの大規模修繕を行った時も、実際に現場作業をしているのはほとんどが外国人だった。少子高齢化が進む現実の中で、外国の人を労働力として採用する国際化は、時代の流れとして仕方がないのかもしれない。だったら、早くやればいい。

 では、外国から日本に来てくれている労働者の現実はどうか。ある調査によると、技能実習の名目で来ている外国人の80%ほどが、最低賃金にも満たないのだという。単純重労働をさせた上に100時間以上残業を課せられ、月の給料が手取りで4万円などというケースもあると聞くと、もうそれは私の常識にはない。劣悪な部屋に押し込め、家賃や食費、手数料などというかたちでピンハネするのだそうだ。パスポートを取り上げるケースもあるというが、いくら能力が劣っていてもそれでは人権無視、奴隷に近いではないか。

 彼らが日本に来るためには、現実的に仲介業者を通さなければならず、例えばベトナムから来るには100万円が必要という話もある。これも問題だ。ベトナムでは200万円もあれば立派な家が買えるというから、若者にとって100万円がどれだけ大金か。それでも日本に行って働けば、それを返してもなお余りあると思うから来るのだろう。日本で技能を学び、祖国に帰ればその技術でまた生活ができる、その連鎖こそが技能実習の趣旨だろう。
 現実には、その実態から多くの実習生が逃げて他で就労するという。転職は違法だそうだ。また、こうなると技能実習にはならない。捕まって強制送還にでもなれば、彼らは祖国で借金だけが残り、みじめな生活を送るしかない。

 母がお世話になっている老人ホームにも、外国人のヘルパーさんがいる。技能実習生ではないようだが、本当に良くやってくれている。頭が下がる。日本で働くことについてどのような資格や許可が必要なのか私は詳しくないが、せっかく日本で働いてくれるのだから、楽しく、やりがいを感じながら日々を過ごしていただきたい。いつの日か、日本で過ごした日々に良い思いを抱いて帰国してほしいものだと切に願う。多くの人が日本を好きになり次の世代につながる、それこそが今の私たちにできる国際化ではないか。

 私も小さな組織を経営、運営しているわけだが、社員といつか別れる日が来ても、いい思い出を残して欲しいと思う。外国人を安い労働力としか見ず、劣悪な環境、劣悪な労働条件しか与えない経営者は、人の尊厳をいかばかりと思っているのだろうか。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )