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2019 年 10 月 6 日

私にはよく分かりません その5 ー 消費税増税に思う

 消費税が2%上がるというので、今年の9月は多くの人が買いだめに走ったという。そんなニュースがあふれていた。デパートでは高額商品が売れたとか、女性客が化粧品を大量に買ったとか、スーパーではビールやトイレットペーパーが売り切れたとか。そんなマスコミの煽りのせいか、9月末はどことなく落ち着かなかった。私は10月の移動のJRのチケットを買ったくらい。他には何もしていないので、腑に落ちない話が多かった。

 そもそも今回の増税は2%である。消費税8%で1万円買っても、10%との差はわずか200円でしかない。それほど買いだめする価値があるのだろうか。
 例えば、缶ビールを無理して1万円分も買ったとして、家の押し入れに保管してやがて消費したところで、それは保管については邪魔なだけではないか。200円の差なのだから2ヶ月でビールを1本分我慢すれば、出費額は同程度なはずだ。むしろビールがたくさん保管してあると、ついもう1本飲みたくなる。少なくとも私はそうだ。そんなことでもすれば、結局金銭的には負担が増える。
 化粧品もそうだ。10万円買っても差は2000円だ。よく分からないが10万円も化粧品を買えば、その保管中に鮮度は落ちないのだろうか。たくさんあるとつい多めに使ってしまうことはないのだろうか。
 スーパーで、ラップや洗剤やトイレットペーパーを買いだめしたところで、消費税額の差額は知れたものだろう。備品というものは、それがあとわずかしかないと思われる状況でこそ節約するものだ。むしろ多くのストックがあることの心の緩みで2%くらい、いやそれ以上に余計に使ってしまうことの方があり得るのではないか。つまり買いだめは心の緩みを生じ、結果的に無駄を生む。これは我が妻の思想だ。

 うちのマンショに70歳代のご夫婦がいる。奥様は足がやや不自由で、歩くのもつらそうだ。それでも毎日スーパーに買い物に出かける。それはそれでいい。9月末のある日、このご婦人が雑貨を多めに買い込み、トイレットペーパーの束を3つも抱えて、スーパーからマンションへ帰って来た。そこを妻が行き違ったという。
 老夫婦2人の生活であれだけのトイレットペーパー、その他の雑貨が必要だろうか、妻は足をかばいながら大量の荷物を持って歩いているその光景に唖然としたという。挨拶をした妻にこのご婦人は「生活が大変なので、せめて安い時に買っておこうと思いまして」と挨拶したという。
 このスーパーでは月に1回トイレットペーパーのバーゲンの日があり、その日は普段より1束あたり100円安いのだという。その日に買えば、消費税が10%であっても、定価の日の消費税8%の買い物より安いわけで、つまりこのご婦人の今回の買い物は1束あたり98円の損なのだ。

 2%の増税、それは1000万円もの買い物をすれば、多少のことは考えたほうがいいかもしれない。しかし、日常の買い物では影響はわずかだ。多少の負担増は今後の社会のために諦めようではないか。悔しいなら生活の工夫で何とすべきレベルだと思う。

 それにしても、前回の選挙であれだけ増税反対を叫んだ候補者の動向が、9月のニュース報道ではほとんど取り上げられない。一方、増税で生活が苦しくなる、困るなど、煽りともいえるほどのポピュリズム報道。私にはよく分からない9月の日々であった。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )