2021 年 6 月 4 日
寄る年波 ー 株式会社アイベック・ビジネス教育研究所清算
2021年6月「薫風の候」と爽やかさをもって書き出したいところではあるが、良い気分にはなれない。このブログは、私の個人的な見解をアイベック・ビジネス教育研究所のホームページに載せて始めたものだが、ほぼ1年にわたって新規投稿をしなかった。遅ればせながら報告をさせていただく。
株式会社アイベック・ビジネス教育研究所は、2021年3月をもって活動を終結し、4月19日に会社の清算を法務局に申請した。私は1988年に会社を立ち上げ、1995年に神田にて独立、以来事業を続けてきた。多くの皆様のお力を得て、企業、自治体からの研修を安定的に受注し業績は概ね順調に推移した。
しかしながら、2008年頃より、研修講師を選定する際にコンペ方式、入札方式を採用する自治体が増えてきた。講師の人柄や力量、講義の内容ではなく、金額重視で採否を決定されるので、受注単価が下がる傾向が顕著になった。
2011年には、東日本大震災により多くの研修が中止、縮小され、翌年以降も同様で、特に私の得意とする電気事業各社からのご依頼数の落ち込みが大きく、その後も原子力発電所の停止、電気事業の自由化、送配電事業の分社化など環境の変化により、収益に大きく影響した。
そして、2020年2月以降、新型コロナウィルスの影響により、研修会、講演会の中止が相次ぎ、結果として2020年8月期決算は大幅な赤字を計上した。その後も新型コロナウィルスの影響が続き、これ以降、研修会、講演会の開催が以前のように戻ることは考えにくい現状である。
私も今年66歳になる。「関根さんはいつまでこの仕事を続けるつもりですか」とのご質問を、これまでも何人もの方からいただいた。漠然と「行けるところまで」とか、「70歳くらいかな」とか答えていたが、講師という仕事は見切りの難しいところがある。こちらが良かれと思っても、受講者との世代的ギャップによる話の受け取り方の問題もある。
また、自身の体調も先行きの不安が拭えない面があった。2019年の人間ドックではガンが疑われた。後の精密検査でその疑いは晴れたが、別の疾病を指摘され、医師からは養生を勧められた。
私は毎年6月から2月にかけてほぼ連日、朝から夕方まで講義、その日の夜に次の会場の都市へ移動するという生活を続けている。土曜日には事務所に出て仕事をこなし、空いた時間で原稿を書いている状況で、ここ数年、疲労感を激しく覚えるようにもなった。
以上のことを総合的に考え、2019年には2~3年内に何らかの決断をしなければならないと思っていたが、昨年からの新型コロナウィルスの影響も大きく、これは神様がくれた贈り物、良いきっかけと考えた。運営の方法を変えることで企業としての存続は可能ではあったが、そこは人生のけじめという位置づけだ。
私の座右の銘の一つ「人は皆、今が一番新しい」のであるから、年齢は気にしていないが、老いと病にはうまく付き合うしかない。逆境は生き方を変えるチャンスなのだ。今後は営業活動はせず、ご依頼のあった仕事のみをお受けすることにする。
私を待つ人がいる限り、私はここに生きている。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )