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2022 年 3 月 18 日

目をそむけてはならない現実 - ウクライナ侵攻

 ロシアのウクライナ侵攻が毎日報道される。
 ロシアはこれを戦争ではなく、当初は軍事行動とか訓練とまで言っていた。
 国際法において、国際紛争を解決する手段や国家の政策の手段としての戦争は放棄されているはずだ。だからあえて戦争といっていないのだろうが、これだけの武力を行使すれば誰が考えてもまともではない。戦争だろう。

 また、ロシアは攻撃しているのは軍事施設だけだともいうが、報道による映像では明らかに住宅、店舗、病院への攻撃であり遠隔地や航空機からのミサイルだ。店舗から商品を略奪するロシア兵の防犯カメラ映像も流れている。
 ジュネーブ条約では、戦闘に参加しない人々、一般市民、衛生部隊、宗教指導者、人道支援者や戦闘に直接参加することができない傷病兵、捕虜は保護されなければならないと決められている。しかし、報道では原子力発電所や、子どもが避難していた劇場まで攻撃し、さらに死傷者を救出している人々や赤十字の援助活動をも攻撃しているという。これは明らかにジュネーブ条約違反だ。

 自分たちが攻撃しておいて、これはウクライナ側の自爆だの、旧ソビエトの放射性物質保管施設を核兵器製造工場だの、アメリカはウクライナで生物化学兵器を作っているだの、根拠も示さず明らかに不自然な子どもの言い訳以下でしかない論を繰り返すロシアの外交官。もう大国としての品格を感じない蛮行でしかない。

 悲しい歴史の事実だが、第二次世界大戦において、沖縄ではアメリカが一般市民を狙い撃ちにした。広島や長崎では一発の爆弾が市民を無差別に殺傷した。その他各地でも街全体が焼き払われ多くの人が死んだ。そのことをきっかけにして1949年にジュネーブ条約が決定されたとも聞くが、70年以上も経った今、また同じことが繰り返されている。これを無情と言わずして何と言おう。

 武力で抵抗してくる人との戦いになるのは、ある意味で生きるか死ぬか、相手を殺さないと自分が殺されるわけで、これは極限的、人智を超えて異常な状況である。だから戦争は絶対にダメなのだ。
 しかし、抵抗手段を持たず、しかも無抵抗な人間を圧倒的な武力を持って殺傷する、国の威信とか目的とかの前に、兵士は一人の人としてどうなのか。またそれを命令する軍幹部も人であり、さらに政治家もプーチンも一人の人である。現場から離れるほど想像力が薄れるのは人の常かもしれないが、そのような人が権力を持った時が国家の不幸の始まりである。

 連日、目を覆いたくなるような映像が報道されている。私たちは今の自分が安全だから見ることができる。残酷。
 哀れみは自分の幸福の裏返しでしかないのかもしれない。しかし、今私たちができることは事実に目をそむけてはならないことなのだと思う。
 大いなる怒りを込めて。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )