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2022 年 7 月 26 日

車への憧れ(その5)- これで私の日産は終わりです

 車への憧れの思いは以前にもアップした。今のフーガ(Y50)を買った10年前である。「いつかはクラウン」のコマーシャルメッセージに憧れた世代の自分へのご褒美、それは自分の歴史の集大成であると言っても過言ではなかった。

 先日妻から、あなたはいつまで車に乗る気かと言われた。車の運転は一生続けていたいが、昨今の風潮は高齢者の免許の返納問題をどうするかだ。運転をあと10年とすると、私は77歳になる。80歳ならあと13年か。
 他人が80歳だったら“いい加減”にしろと思うかな。そう思ったら私が今のフーガに乗り続けたら、この車は新車から26~29年ということになる。今のフーガの内外装は人が驚くほどきれいだ。あと10年乗っても決定的な故障はしないと思うが、部品はそれなりに劣化するだろう。その前のセフィーロもそうだった。23年乗ったが、20年目頃から樹脂製の内装材が劣化してきた。

 そんな漠然とした思いを持っていたら、日産がフーガ、シーマ、GTRの生産を2022年6月でやめるというニュースが飛び込んできた。この秋からの騒音規制を達成できないのが理由というが、これからの自動車業界は、電動化、コンパクト化、自動化がキーワードであり、現実にあまり人気がないのだろう。東京では2030年からガソリンエンジン車は販売自体が禁止されるという。仕方のない流れではあるが、ガソリン車に憧れた世代としてはさみしい限りである。

 以前にも書いたが、私の子どもの頃の憧れは、プリンス・スカイラインだった。その後、プリンス自動車が日産自動車と合併してからも、愛のスカイライン(いわゆるハコスカ)や、愛されていますか奥さんのブルーバードU(610)に憧れたが、なんと言ってもケンとメリーのスカイライン(C110)だ。見ているだけでも美しいし、あんな車に彼女と乗れたら最高と思ったのはまさに青春。(私は今も青春ですけど)私にとって、もうそんな車は出ないということだ。

 そんなこんなで、私の車人生の最後に、また日産のハイクラスセダンも最後になるこの歴史的局面に、もう1回車を乗り換えてみようかという気持ちになった。自動車の歴史が大きくターニングポイントを迎える今、最後のガソリン車を押さえずにはおくものか。
 では、人生の最後はBMWか、それともベンツかとも思うが、これらの車を頑張って買ったところで、最高グレードには届かない。残念ながら私はドイツ車の良さを理解しているわけではない。そこはやっぱり日産だというわけで、スカイラインやブルーバードに憧れたころを感じながら、最後の最高峰、フラッグシップ、フーガ(Y51)に決めた。かといって新車を買う気はない。もったいない。

 10年前と同様に中古車を探した。2017年の登録で走行7900キロというのが出てきた。ということは年間1500キロほどでほとんど走っていないではないか。本当か、ということで見に行った。傷や汚れなくほぼ新車の状態。トランクは使った形跡もない。Y51には3700CCもあるがこれは2500CC。Aパッケージで余計な装備が省かれているタイプ、色も今と同じパールホワイト。私にとっては理想的だ。
 シートにはハーフのレースカバーがついていたが、一昔前ならまだしも今頃こんなものは流行らない。サイドセイフティポールやドライブレコーダーもオプションで付いている。ということは結構年配の方がおとなしく乗っていた車かと思われた。即決した。

 もっとも、このフーガは世に出てからすでに10年以上が経っている。その間にクラウンは2回もフルモデルチェンジしており、車のコンセプトとしては古い。でも、2500CC、6気筒、ノンターボの純粋なガソリンエンジン車、ギアは7枚もついている。純粋なガソリン車でここまでの車は現時点ではフーガしかない。車らしい車であり、メーカーにとっても私にとっても、ある意味で最後の車であると言ってもいいだろう。

 5月に納車されて、すでに2度ほどドライブに行ったが、前にも増してパワフルな加速。最終ギア比が7速で0.77と高速での静粛性はかなり良い。デザイン的には好き嫌いがあるが(私もこの車を初めてみた10数年前はイマイチだと思った)、現行クラウンよりもボディサイズは大きく、駐車場に止めても存在感がある。
 この車に“今の彼女”を乗せて、あと10年、青春を謳歌することにする。これで私が人生をかけて憧れた車は終わりです。多分。
 念のために。今の彼女は妻です。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )