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2024 年 12 月 17 日

不可解な省資源 ― 広島のホテル

 広島駅近くのホテルに宿泊した。このホテルは公共の施設で昭和の時代に優秀建築作品として表彰されているそれなりのホテルである。初めて利用した。
 このホテルは各部屋にウォーターサーバーが設置されている。40リッターのタンクから常に熱湯、冷水が出る本格的なものだ。結構な大きさがある。そして、ロビーやエレベーターは次の趣旨の掲示が、これ見よがしに貼ってある。主語、述語が不自然であまり上手な文章ではないが、それはここでは問題にしない。
「当ホテルでは、これまで各部屋にミネラルウォーターを配置していましたが、環境保護、ペットボトル削減のため、ウォーターサーバーに変更しました。また当ホテルはユニットバスのため水道水の清潔さを担保できないものですが、ウォーターサーバーの水はミネラル豊富で安全な天然水です。」

 部屋には確かに立派なウォーターサーバーが置いてあった。しかしながら、これがどれだけ環境保護に資するものか。大いに疑問な代物だ。常に冷水、熱湯が出るということは、コンプレッサーが稼働しているということだ。また、このウォーターサーバーはペットボトルのタンクが下に付いているタイプであり、給水時にはポンプが稼働する。そして本格的な機種なので、イルミネーションランプが常時点灯しており、就寝時はやたらとまぶしい。
 チェックイン時にフロントの人から、まぶしいようなら電源を切るようにと言われたが、電源を切れば水は出ないし温度も制御できないわけで使い勝手が悪い。

 そもそも、仮に1部屋あたり1日1本のペットボトルを消費したとして、1年に300日稼働しても300本だ。このウォーターサーバーに使われているプラスチックの部品やそれを維持するための電気代などを考えれば、500ミリリットルのペットボトル3000本と比較しても環境負荷は大きいだろう。
 掲示にあった「ユニットバスのため水道水の清潔さを担保できない」という趣旨の内容も理解できない。ユニットバスが故に清潔な水が出ないなら、日本にあるほぼ全てのホテル、多くのマンションの水道は清潔でないということになる。意味不明。ホテルの水道管の更新がされていないので水質が悪いとすれば、それは別の問題だ。

 私は水道水が危険とは思っていない。むしろペットボトルの天然水より安全だと思っている。またホテルに滞在する数日間に必要最小限しか飲まないので、日本のホテルの水道水には何の不安もない。
 このホテルに悪感情はないし、また利用する機会もあると思うが、環境保護、省エネルギーの観点からは実に不可解なホテルであった。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )