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ブログ

2025 年 3 月 31 日

お米の値段 ― 安ければいい?

 スーパーなどで売っているお米の値段が高いと話題になっている。このブログでも何度か書いているが、物の値段は安ければそれで良いのか。大いに疑問だ。例によってマスコミは消費者の声と称して「高くて困ります」などのコメントを放送しているが、だいたいは銀座あたりでのインタビュー。銀座に買い物に来る人は、生活にそれほど困っていないだろう。

 日本政策金融公庫が2025年1月に行った「米の購入に関する消費者動向調査結果」によると、米の価格上昇については、
 納得していないがやむを得ない 46.1%
 厳しいが納得している 28.1%
 気にしていない 14.5%
 受け入れられない 11.3%
 つまり、約9割の人が現状を受け入れている結果である。

 これを見ると、確かに安いに越したことはないという気持ちはあるものの、多くの人が現状を冷静に受け入れているようで安堵する。

 日本人の米離れという言葉も一時マスコミ各社が報じたが、この値上げのニュースにはまず登場しない。むしろ必要性を強調する論調が多い。お米の値段が高いので「パンにしました」「焼きそばにしました」などの街頭インタビューもあったが、仮に精米の値段が5キロ4000円としても、炊いたご飯は茶碗1杯40円程度だ。それほど高くはない。パンや焼きそばに変えた人は生活に余裕のある証拠だ。

 私は農業の専門家ではないが、農業関係の団体の研修会を20年以上担当しているので、そのほうの話も耳にする機会がある。よほど大規模に法人化している団体は別として、今や米専業の農家はその多くが赤字である。だから他で稼ぐ兼業農家が9割を超えている。米の収穫に使うコンバインなどの農機具は、日産フェアレディZの新車が2台買えるほどの価格だという。専門家の方に聞くと、農家の方が安心して稲作をするための適正価格は5キロ4500円くらいだという。かつてスーパーなどで精米5キロ2000円くらいの時期もあったが明らかに安すぎたのではないか。それを基準にすることが疑問だ。

 物価は安ければ良いのか? 売れている高額商品は本当に必要でそれに見合った価格なのか?米に限らず、我々が負担すべき価格について一人ひとりが考える時期にきているのではないか。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )