2025 年 8 月 23 日
私にとって箱根は ― 特別な観光地
箱根は私にとって特別な場所である。
小学生の頃、母方の祖父が一族を連れて何度も箱根を旅行した。一族というのは祖父、祖母、その子ども、つまり私のおじ、おばが、私の母を含めて5人なので、計6世帯の20数名である。
当時、祖父は自動車メーカーいすゞの総務部に務めていたらしく、箱根仙石原の近く温泉荘バス停あたりにいすゞの保養所があり、そこに宿泊したのだ。木造平屋建ての日本家屋で、大広間で会食、その場所で雑魚寝。私たち子どもは朝から芝生の庭を駆け回る。大人達はトランプや麻雀に興じ、昼は芦ノ湖周辺の散歩、時にはモーターボートでの遊覧や海賊船でクルーズ。親戚、家族には一大お楽しみイベントだったのだ。子ども心にも毎年の箱根が本当に楽しみだった。
その後、祖父がいすゞを辞めて他社に移ってしまったのでこのパターンはなくなったが、おじが勤めていた会社の組合の保養所や、別のおじが勤務していた損保会社の保養所などにも行ったので、総勢20数名でのべ5~6回は行った。とにかく、この親戚一族は箱根に行くことで盛り上がったし、夏の恒例行事の印象だった。
当時は車を持っていないのが普通の時代だったので、行き帰りは小田急ロマンスカー。私が特に憧れたのはNSE3100型である。運転席が2階にあり、ウェイトレスが飲物や食事を持って来てくれる走る喫茶室と呼ばれた車両だ。祖父は決まってハイボール、私はアイスレモンティーを頼んでいた記憶がある。トイレには当時は珍しいエアータオルが設置されハンカチで手を拭く必要がない。子どもには夢のような列車でこれに乗ることも楽しみであった。終点の箱根湯本からは登山電車で強羅へ、さらにケーブルカーで早雲山へ、そこからはロープウェイで大涌谷、姥子と駅を2つ超えて桃源台、そこからバス。乗り物好きの子どもにはたまらない行程だ。
これらの思い出が私の脳裏に染みついているので、箱根は特別の場所なのだ。
最近は東急ハーベストクラブの会員になったので毎年のように箱根に行くが、ほぼ車での移動になった。この7月には、ハーベストクラブ箱根湖悠に泊まり、久しぶりに海賊船に乗った。箱根町から桃源台へ行き、ロープウェイで大涌谷駅へ。聞いてはいたが外国人観光客の多さ、ロープウェイは乗るのに40分待ちの行列だった。まあ仕方がないがそれはそれで楽しめるのは箱根が私にとって特別な場所、そこここに子ども時代の思い出が蘇るからなのだ。
箱根には行く度に祖父を思い出す。感謝である。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )