2026 年 7 月 22 日
さらば涙と言おう ― 青春は悔いだらけ
久しぶりに森田健作氏のCDを聞いた。
森田健作氏は同郷で大田区矢口の生まれだ。彼が詰め襟の学生服で歌手デビューした際には、地元から歌手が出たとのことで、妹は地元の大田区民会館に聞きに行ったものだ。
当時はセブンティーンなどの雑誌が全盛期、南沙織の「17歳」、もう少し前には舟木一夫の「高校生3年生」「学園広場」などもヒットし、高校生は何となく憧れだった。高校生活は勉学に励みながらも、男女の交際やその他の学園生活にも夢のような楽しい時代が繰り広げられるイメージがあった。私も漠然とそう思っていた。
私は武蔵工業大学附属高校に入学した。それは今もありがたいことと思っているが、高校に入ってからは理想と現実はかけ離れた。当時、森田健作氏はテレビ番組でドラマ「俺は男だ!」で役を得て一世を風靡していた。私はそのドラマに感化されたものだ。クラブ活動や女生徒との交際で青春を謳歌している主人公、小林幸治のようになりたいと思った。が、現実は男子校だったので女生徒はいないし、何とかつながりをつけたとしても女性とは緊張して話もできず、とてもテレビドラマのようにはいかない。周囲はやる気のない者ばかりで、私もクラブ活動をするでもなく、無気力にさいなまれ成績は急降下した。
そんなときに彼の楽曲が自分を支えた。理想を夢見た。悔しい思いを助長させた。というか心に沁みた。レコードを買い歌詞に現実を照らし合わせて悶々としたものだ。
「青春の勲章はくじけない心だと、知った今日であるならさらば涙と言おう」
「この短い春の日に何をすればいいのか。涙も熱ければそれでいい。心の傷だって価値がある」
「昨日に遇うことは二度とない。今日さえ半分は背を向けた。悔いはないかい、燃えたかい、それを自分に聞いてみよう」
「君の胸の奥はいつも熱い嵐、何をしても苦しい、せつないこの毎日」
「友達よ、泣くんじゃない。今はつらいけど。明日は晴れるから」
「たった一度の青春の無駄遣いは、御免被りたいものさ、そうじゃないか」
高校の卒業アルバムの署名欄には「無意な3年間でした」と書いた。正直な気持ちだったが、これを見た親は当時どう思っただろうか。今、自分の娘がそういう考えであったなら、私はいたたまれないだろう。親にとっては子どもの幸せが最大の望みであったろうから、これほどの親不孝なメッセージはなかっただろう。今になってなんということを書いたのだろうと亡き父母に対して忸怩たる思いになる。
誰にでも淡い思い出、悔しい思い出はあるだろう。50年も前の高校生時代のことではあるが、久しぶりに森田健作氏のCDを聞いて何とももどかしい思いをした。
ということは、私は今も青春か。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )