電力業界の
クレーム対応と
リスクコミュニケーション
著編者: 関根健夫 著
出版社: 日本電気協会新聞部
刊行年: 2016.9.23
ISBN: 978-4905217572
サイズ等: 18.2x11.3x2cm/236頁
税込価格: \1,080
時代とともに増え続けるお客さまからのご意見・ご要望。特に東日本大震災と福島第一原子力発電所事故以降は、
原子力発電所のリスクに対する不安の高まりもあり、電力会社のお客さま担当窓口では困難な対応が増えています。
電力業界ならではの具体的事例がふんだんに盛り込まれ、分かりやすく、お客さま対応能力を向上することができます。
電力会社のお客さま窓口をはじめ、お客さまと直接対応する部門のスタッフに最適の指南書です。
本書は2009年に発行した『クレームを活かせ――電気事業編 信頼を高めるクレーム対応術』の改訂版です。
目次
第1章 お客さまからの信頼を得るために
1・クレームとは何かを考える
クレームは必ずしも苦情ではない/「苦情」は受ける側の感覚/今日の「お客さまの声」事情/豊かな社会はクレーム社会
2・断る勇気がコストを下げる
信念が社会貢献につながる/断る勇気、反論に対応する勇気を持とう/信頼がお客さまの声を増やす
3・信頼回復はコミュニケーションから
信頼回復の方策はコミュニケーション/コミュニケーションとは/人は話の内容だけを聞いているのではない/信頼への一歩は心理変化/心理変化をプラスにする努力
4・お客さま対応の意味
お客さまのご意見にしっかりと向き合う
第2章 お客さまにリスクを説明するために
1・なぜ、信頼をいただけないのか
お客さまは情報を持っている/マイナス状況からのお客さま対応/マイナス情報は興味の第一歩/マイナス情報を広い視野でとらえていただく
2・リスクコミュニケーションの基礎知識
リスクとは何か/人は合理性だけで判断しない/自分で管理できるリスク、管理できないリスク/自分で管理できないことはマイナスが意識されやすい/豊かな社会は、意思決定が分散化される/
リスクを取るとはマイナスを受け入れること
3・なぜ人は不安を主張するのか
社会が発展すると合理的判断がしにくくなる/結果だけを求めると、学ばない人が増えてくる/過程を知ってもらう/不安を訴える心理/その人を信用できるかどうかが、安心の分かれ目
4・人は誰でも自分を合理化する
人は自分の思う方向に物事をとらえる/思考を止める人、冷静になれる人/人は主観的合理性で判断する/人は確率より事象で判断する
5・お客さまの信頼を取り戻すために
リスクを話し合うための注意点/信頼を取り戻すには/お客さまの信頼を取り戻すには/価値観の同一性を広くとらえる/結論を急がない
第3章 お客さまは何を望んでいるのか(お客さま対応の心構え)
1・落ち着いて対応する
異なる立場からの発言には理屈で返さない/第三者の目を意識する/お客さまは早い解決を望んでいない/お客さまが望んでいるのは、満足のいく対応/すべてのお客さまに、誠意を持って対応する/結果を変えられないのなら/正しき者は、強くあれ
2・不当要求の判断
意見と不当要求は分ける/不当な手段、行為とは/不当要求を判断するのは責任者の役目
3・お客さま対応は段階的に行う
お客さまは3つのことを期待している/理解、納得にはそれなりの時間が必要/お客さま対応の基本4段階/説明を保留する判断も有効
4・お詫びと謝罪を使い分ける
お詫びと謝罪は違う/道義的にお詫びし、必要によって謝罪する/道義的なお詫び、謝罪で済まなかったらどうするか/お詫び、謝罪をしても責任とは別
第4章 お客さまの信頼を得るコミュニケーション・話し方のコツ
1・気持ちよく話していただくために
まずは聞く、とにかく聞く/オーバーリアクションを心がける/あいづちに変化を付ける/逆質問で理解のずれを修正する/お客さま対応のコツは逆質問/逆質問のコツ/質問すると怒るお客さま
2・感情的になっている人への対応のコツ
感情的になっているお客さまへの配慮/逆質問でかわす努力/共感で怒りを鎮める/共感の仕方/共感しないほうがよい場合の注意点
3・感じよく聞いてもらうために(説明のコツ)
お客さま対応はコミュニケーション/事実と考えを分けて伝える/説得の前提としての道筋を整理する/肯定的に表現する/命令的な表現をしない/マジックフレーズを使う/上向きに話す/前向きに話す
4・ご理解、ご納得いただくために(説明のコツ)
方向づける/理屈より事例を話す/数字を使う/信頼できる数字をあげる/解決策は比較して選択させる/今後の行動を具体的に示す
5・気持ちよく話を終えるために(クロージングのコツ)
気を入れて迫る/最後まで気を抜かずに、お客さまとして接する/世間話の仕方/見送りはていねいにする
第5章 困難なクレームへの対処法
1・困難なクレームへのすじを通した対応
どのようなお客さまにも、こちらは誠意で対応する/諦めていただくこともお客さま対応/積極的に聞く。しかし解決策は出さない/イエスともノーとも言わない
2・例外を認めるときは
例外を認める場合の注意点
3・記録をとる
事実を正確に記録する/記録に承諾は不要
4・対応を打ち切る
こちらの事情を話してお引き取りを願う/どれくらい対応すれば十分な時間なのか/電話での対応を切り上げる
5・担当者を一本化する
担当者、担当部署を一本化する/常習性や犯罪の影を感じたとき
6・常套句への対応
お客さまの誠意は冷静に見分ける/訴えてやる・インターネットで公開する/誠意をみせろ/即答しろ・時間がない/夜道は暗いぞ・首でも洗っておけよ/私を馬鹿にしているでしょう/
それがすじでしょう/大声で恫喝されたら、居座られたら/断る場合は/電話で「こちらに来い」と要求されたら/個人的なことを言え/書面で回答しろ・この書類に印鑑を押せ