イラストでわかる
介護・福祉職のための
マナーと接遇
著編者: 関根健夫、杉山真知子 著
出版社: 中央法規出版
刊行年: 2017.8.22
ISBN: 978-4805855621
サイズ等: 21x15x1.8cm/222頁
税込価格: \2,160
コミュニケーションスキルの決定版。利用者さんのご家族から信頼されるよりよい関係を築いていくための一冊。
目次
第1章 これからの介護・福祉職へ
1 マナーや接遇ってなんだろう?
2 社会・時代の変化と接遇・マナー
3 今、求められるマナー ホスピタリティ
4 畏敬の念を持つ
5 美しくあること、自分に厳しくあること
6 なぜ接遇・マナーが必要なのか
確認チェツクリスト
第2章 必ず身につけておきたい基本マナー
1 あいさつは先手必勝
2 声かけは明るく元気に
3 返事はすぐに返す
4 礼・お辞儀の仕方
5 立ち方、座り方
6 歩き方
7 身だしなみのマナー
8 物品を手渡すときのマナー
9 物品の使用後のマナー
10 使った後の心遣い
確認チェツクリスト
第3章 介護・福祉職に求められるマナーと接遇
1 介護・福祉職としての心構え
2 見られていることを意識する
3 面会・来客時のマナー①人を案内するときのマナー
4 面会・来客時のマナー②ドアの開閉のマナー
5 面会・来客時のマナー③席順のマナー
6 面会・来客時のマナー④お茶の出し方
7 面会・来客時のマナー⑤人を紹介するときのマナー
8 面会・来客時のマナー⑥お見送りのマナー
9 訪問する際のマナー①訪問のマナー
10 訪問する際のマナー②玄関周りでのマナー
11 訪問する際のマナー③名刺の渡し方
12 介護場面でのマナー①食事介助の際の心配り
13 介護場面でのマナー②排泄介助などプライバシーヘの配慮
14 介護場面でのマナー③移動、移乗時の心配り
15 介護場面でのマナー④入浴介助の際の心配り
16 介護場面でのマナー⑤居室に入る際の心配り
17 介護場面でのマナー⑥環境整備への配慮
18 介護場面でのマナー⑦利用者さんの意向を大切にする
19 介護場面でのマナー⑧相手を待たせるときのマナー
20 職場内でのマナー①受付・ロビーでのマナー
21 職場内でのマナー②同僚へのマナー
22 職場内でのマナー③休む・引き継ぐときのマナー
23 職場内でのマナー④個人情報の扱い方
24 職場内でのマナー⑤差し入れに関するマナー
確認チェツクリスト
第4章 コミュニケーションスキルを身につけよう
1 はっきりとした発音・発声を心がける
2 敬語の基本 身内か外部かで分ける
3 適度な敬語を心がける 言い終わりにポイント
4 マジックフレーズを使う
5 あいづちの活用 真剣に聞くこと
6 他人への関心を示す
7 質問は人間関係をつくる
8 ホウ・レン・ソウがチームワークの基本
9 報告がなければ仕事は終わらない
10 会話のコツ①上向きに話す
11 会話のコツ②同じ向きに話す
12 会話のコツ③前向きに話す
13 会話のコツ④依頼形で話す
14 会話のコツ⑤できることを強調する
15 会話のコツ⑥イエスを重ねる
16 会話のコツ⑦専門用語を言い換える
17 会話のコツ⑧理由をつけ足す
18 会話のコツ⑨「念のために」を加える
19 会話のコツ⑩世間話の活用
20 褒めることを意識しよう
21 長所・共感点を探してみよう
確認チェックリスト
第5章 クレーム対応力を磨く
1 クレーム対応のコツ①クレームを活かす心構え
2 クレーム対応のコツ②聞くことの大切さ
3 クレーム対応のコツ③段階を追って進める
4 クレーム対応のコツ④相手の言い分から客観的事実を把握する
5 クレーム対応のコツ⑤使ってはいけない言葉 絶対・でも・だって・けど
6 クレーム対応のコツ⑥詫び言葉を使う
7 クレーム対応のコツ⑦結論を押しつけない
確認チェックリスト
第6章 電話・手紙・メールのマナー
1 電話をかけるときのマナー
2 電話こ出るときのマナー
3 取り次ぐときのマナー
4 携帯電話(スマートフォン)のマナー
5 メールのマナー
6 メールの書き方
7 SNSに注意しよう
8 手紙の書き方
9 手紙の注意点
10 のし袋・祝儀・不祝儀のマナー
確認チェックリスト
第7章 事例で学ぶマナーと接遇の実践
case1 「あの職員は信頼できない」と言われた 職員の対応に不満
case2 謝罪の意味 お詫びと謝罪
case3 世間話のつもりが個人情報の流布に!? 世間話の話題
case4 訴えが多く、怒りっぽい利用者さん 統合失調症の疑いのある方
case5 物品を壊された! 対立関係をつくらない
case6 レシートと買ってきたものが合わない! 記録の重要性
case7 父が違う人の服を着て帰ってきた!! 物品の取違い
case8 料理の量や味、調理法などへのクレーム 経験から学ぶ
case9 激高する利用者さんのご家族 ときには正式に申し入れを行う
確認問題
まえがき
本書を手にしたあなたへ
本書を手にしたあなたは、きっと人と人との関係を大切にされているのだ
ろうと思います。それは、私たちにとって大切なことです。人はー人では生き
ることはできません。必ず誰かの協力を得て、社会の中でともに生きている
のです。それは、どのような職業であっても、どこかで人の役に立っており、
人に感謝され、そしてお互いが社会を支え社会に必要とされているというこ
とでもあります。
本書を手にした多くの方が、介護・福祉の現場で働いている方だと思いま
す。福祉に携わるということ、特に介護をするということは、直接人にかかわ
る職業です。直接、人が生活していくためのお手伝いをすることができ、そし
て直に感謝される、そんな仕事です。いわば、あなたの努力が直接、その人
の今を左右するわけです。私は、これほどやりがいのある、素晴らしい仕事
はないと思います。
思いを伝えることは難しい
一方で、人に理解していただくことは難しいものです。こちらはよかれと
思ってしたことや言ったことでも誤解を受けることがあるものです。「そんな
つもりではなかったのに」「そんな風に言わなくてもいいでしょう」などと、
気持ちが伝わらず誤解されて悔しい思いをしたこともあるでしょう。
介護・福祉の現場は、人と人とのかかわりで成り立っています。人にはそ
れぞれに思いや感情がありますので、それらがズレることもあると思います。
また、いくら利用者さんやご家族が望まれたことであっても、こちらにできる
ことには限界もあります。相手のすべての要望に応えることはできません。ま
た反対に、利用者さんやご家族が望まないことであっても、協力していただ
かなければならないこともあるでしょう。
思いを伝え、協力を得ることは簡単ではありません。友達同士であれば、
多少気持ちがズレても大きな影響はありませんが、それが仕事の場となると
他人への影響や責任といった概念も出てきます。
しかし、基本は人と人の問題です。誰もがよりよい方向を目指し、よりよくす
るために心を配っている、それは信じて間違いのないことです。
言葉と行動がすべて
周囲の人に自分をわかってもらうには、どうしたらよいでしようか。いくら
温かい気持ち、優しい気持ちがあっても、それを相手に伝え、相手が理解し
てくれなければ、それらの気持ちも無駄になりかねません。周囲の人に自分
を理解してもらうには、自分の思いを言葉と行動によって表現するしかない
のです。
多くの人が、周囲の人とよい人間関係を築きたいと思っています。自分の
能力を発揮して、人の役に立ちたいと思っているのです。そのために、自分の
思いをどのように言葉にして、どのように行動に移すか、それを形にしたのが
接遇・マナーなのです。そんなことはわかっている、という方もいらっしゃる
でしょう。接遇・マナーが大切だということはみなさんわかっています。そし
て、「少なくとも他人に迷惑をかけないように」「他人の役に立つように」と
考えて行動しています。
しかし、どれだけの人が接遇・マナーを真剣に学んで、実践しているでしょう
か?自分の過去の経験に基づいて、なんとなく実行していたり、これでいいの
かな、もっと他の方法はないのかなと、不安を持ったまま人と接していたりしま
せんか?もし、そうであれば、本書できちんと学んで、自信をつけてください。
人に信頼されるために
社会で働くことは、給料をもらってそれでおしまいということではありませ
ん。自分を高める努力をしながら、周囲の人々にもよい影響を与えることが
大切なのです。接遇・マナーがきちんとできている人は、周囲の人とバランス
のよい人間関係を築き、周囲の人に話しやすく、働きやすいと感じさせること
ができ、結果として人から信頼されています。
本書を手にしたあなたにも、ぜひそんな人になってほしいと願っています。
接遇・マナーは、自転車やスキーと同じです。一度身につければ、忘れるこ
とはありません。たとえ忘れても、またすぐにできるようになる、一生もので
す。あなたの明るい未来のために、本書をお役立てください。